<呟き10>霧雨

外で霧雨がふっていた

どっちつかずの雨

外に出ようか出るまいか

しかし霧のような雨は

出てきた獲物を手招きし

途端に濡らしてしまうだろう


細かい雨はまだ続く

今日は用事があるのだが

まあいいか、中止にしよう

雨はまだ降り続いている


屋根に穴が開いてしまった

そこから雨が降ってくる

ポツポツとずっと降ってきては

私の心にたまっていく


心は無限じゃないんだよ

痛みと涙に気づいて

すぐにそこを塞がなきゃ

そこから心は逃げ出していく


後に残るのは

空っぽになった入れ物だけ


外で霧雨が降っていた

私は迷うことなく外に出る

きっと、もう、

何もかも終わってしまった

この雨が止むまでは

私は『入れ物』にすぎない

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