第4話 1回目の魔王と勇者に戦い

ー 勇者シオン=グランデ side



「もう少しで森を抜ける頑張るんだ!」

シオンの声がパーティーに力を与える。

大森林にを魔族領へと向かう勇者一行、相手に気取られぬように魔の森と言われる大森林を抜けようとしているのだ。

そのお陰もあってか皆のステータスも軒並み上がってきている。


「シオン、後どれくらいでしょうか?」

シスターメイが声をかける、シオンは周囲の気配を探った後

「後1日というとこだと思う。森を抜ければ魔族領なので今宵は十分に英気を養う必要がある、もう少ししてから野営の場所を決めるつもりだ。」

と答えた。

勇者一行は元の5人に加えてそれぞれを補佐するように各国から実力者が参加している、今では15人のパーティーだ。暫くして野営地を作り上げる為、土魔法と結界魔法の得意な男が何時ものように見事な野営の宿泊所を作り上げる。

「いつ見ても見事だな。」

感心するシオンにガイヤと言う男が答える

「俺は戦闘はからっきしだからな、皆がゆっくり休める場所を作るのが俺の役目さ。」

と軽く答えて結界を張る。

「よし出来た、飯は早めにお願いするよ。」

と言うとガイヤは1人先に寝床に向かった。




ー 次の朝早く野営地を出発した勇者一行は、森の直ぐ外側に移動していた。



「これから先は2つに班を分ける、囮的に魔族領を荒らして森に逃げ込む班と隠れながら魔族領奥深くに進む班だ。事前の決まり通り別れた後は成功を祈って進むだけだ、皆生きて帰るぞ!。」

と勇者シオンが言うと皆が力強く頷いてそれぞれに別れて姿を消した。


「シオン、魔王城の場所はわかるの?」

シスターメイが尋ねる

「ああ、決死の思いで探索者らが残したメモがある。」

と言いつつ一つのメモ帳の写しを取り出したシオンは、その中から一つの地図を取り出し広げる。

「これが魔族領の地図だ、勢力図は変わってるかもしれないが魔王城の位置は変わらない筈だ。ここから北西に100kmの場所にある筈だ。」

と言いながら仲間に説明してから5枚のフードを取り出して皆に配る。

「これは隠匿のマントだ、皆これを着て俺の後についてきてくれ。」

と言うと足音を消しながら魔族領を進み出した。


5日目の昼、勇者たちは魔王城が見える丘の上に来ていた。

「とうとうここまできたぞ。彼らのお陰でここまで敵らしい姿を見ていない。今夜魔王城に忍び込むぞ。」

シオンは興奮を抑えるように低い声で伝えた。

囮班が魔族を入り口付近に釘付けにしているようだ。


深夜、魔王城の外壁に取り付く五つの影。

10分後魔王城の中に入り込んだ勇者一行を待ち受けていたのは、10人の吊るされた遺体だった。

「!、どう言うことだ。何故彼らが・・いつココに来たんだ。」

勇者は嗚咽を堪えながら10人の元仲間の遺体を魔法袋に収納すると、勇者剣を抜き扉を睨みつけた。

「皆覚悟しろ!最後の戦いだ。」

と言うと扉を蹴破った。






ーー 創世記372年9月2の土の日早朝



セブンはいつも通り魔の森を散策していた。

現在のステータスは


ステータス

セブン 7歳  男 人種(亜神)  レベル45/50

HP 252000(504) MP 253000(506) (隠蔽時500分の1表示)

STR(力) 82000(164) AGI(俊敏性) 110000(220)

VIT(耐久力) 163000(306)


スキル (隠蔽中)

鑑定(神)    隠蔽(神)    索敵(全)    マップ(極)    気配全遮断(神)

魔法全属性  魔力操作(神)  MP回復(極)   HP回復(極)   再生(神)

創造魔法(神) 不死(極) 死者蘇生(極) 回復魔法(極) 治癒魔法(極)

魔法4属性(神) 光魔法(極) 闇魔法(極) 時空魔法(極) 空間魔法(神)


加護

創造神の加護(神)  


称号

神の半身  異世界の訪問者   変革する者  大森林の征服者   魔を狩る者


である、最近レベルに上限があるのに気付いた。



「何かが魔族に追われている・・・人のようだ・・2、3、4・・5人だ。一つは消え掛かっている助けなきゃ。」

そう呟くとセブンは森の上空へ舞い上がり物凄いスピードで飛行した。




ー 勇者シオン



「どうしてこうなった。どうして・・・。」

シオンは後悔していた、仲間の死を知った時撤退すべきだったのだ。

怒りに任せてシオンは魔王城に飛び込んでしまった。

中には勇者一行を待ち構える多くの魔族と魔人が居た。

そして

「やっと来たか、待ちくたびれたぞ勇者。」

と言う声で顔を向けると奥の間の椅子に座する一際強いオーラを見せる魔王が居た。

「魔王!許さん!」

シオンは仲間の存在を忘れて魔王に飛びかかっていった。

当然強力な魔族や魔人がその行手を塞ぐ、斬り結ぶも多勢に無勢シオンは10歩と進むことができない。


「シオン!待て!出直すぞ!」

仲間の誰かの声がするがシオンの耳には入らない。

そして魔人の剣がシオンの右腕を切り飛ばしさらにその剣は心臓を貫こうとしていた。

「これまでか」

シオンの心が折れかけた、そこにシスターメイが身を投げてシオンを救った。

胸を深く貫かれたメイは、

「勇者様、逃げて・・」

この言葉でシオンは冷静さを後悔と共に取り戻す。

「集まれ!」

と声をかけると魔道具を発動した。

それは一度限りの移転の魔道具、魔の森の外周で地点を記憶させたものだ。

光が5人を飲み込むと5人は魔の森の外周に飛んでいた。

これで助かると思った直ぐ後に

「シオン、魔族に囲まれている。とにかく逃げるぞ!」

と言う言葉にメイを抱えて走り出す、どのくらい走っただろうか。

「シオンここが最後かもしれないぜ、俺らが道を開くメイを置いて逃げろ!」

と言う仲間の言葉に

「誰も死なせない、俺は勇者だ。」

と言い切り新たに来た魔人に向かい合う。


「勇者よここがお前の墓場だ、覚悟しろ。」

魔人が斬りかかる、もう避けることすら満足に出来ないほど勇者は疲れていた。

「ここまでか」

とうとう心を折られたその時、魔人の剣が何者かの剣で防がれた。


「何者だ!」

魔人が勇者の前に立つ小さなさ影に問う。

「僕はセブン魔を狩る者だ。」

と答えたまだ幼い子供のような声の主は、その小さな姿がブレたかと思うと周囲に居た魔族と魔人を斬り捨てていた。

「何が起こったのだ」

シオンは目の前の状況が信じられなかった、そしてその小さな者はシスターメイとシオンの深い傷と腕を元に戻していた。



ー 真なる魔王 side



勇者一行が移転の魔道具で逃げ出したのは予想外であったが、既に手配は済んでいた。

逃げる場所は魔の森しかないのだ、移転魔法は非常に難しく魔道具を使ってもその移転できる距離には限界があるのだ、およそ100kmである。

勇者たちが森を抜けた場所は分かっている、既にその周辺に魔族を配置していた。

「お前も向へ!そして勇者の首をここに。」

魔人を追っ手に向かわせた。


そして1時間後。

「む!またしても我が魔人がやられた。勇者以外の誰が・・・。」

3人目の魔人を殺された魔王は、魂の痛みに血の涙を流した。


その姿を見ていた第二、第三の魔人2人が静かに姿を消す。

第一の魔人は動かない。




ー 勇者シオン side



一瞬の隙をつかれた形でメイが僕の代わりに凶刃にその身を貫かれた。

僕にはまだ力が考えが不足していたんだ、悔やんでも悔やみきれない。

そしてその魔人の剣が僕の命を断ち切ろうとしていた、もうあがらう力もない。

目を思わず瞑ってしまった、しかし僕に最後の時は訪れなかった。

何者かが魔人の剣を防いだのだそして魔人だけではなく、周りにいた魔物全てを切り伏せて僕とメイの傷を癒したのだ。

その後はいつの間にかその小さき影は消えていた。


「シオン大丈夫か?メイは・・!メイ、お前も大丈夫なのか・・よかった。」

誰かの声が今の状況が事実だと悟らせた。

「僕らは・・生き残ったのか。」

思わず僕は呟いた、今回僕の浅はかな認識で皆を危険に、いやとうとう犠牲を出してしまった。

「戻ろう、強くなってそしてもう一度ここに。」

そう言うだけで精一杯だった。

その後は僕らは逃げるように大森林を移動したのだった。




ーー 創世歴372年10月4の土の日  聖王国の王都




逃げるように森を抜け聖王国まで帰ってきた勇者一行は、教会に報告に訪れていた。


「それでは今回の魔王城襲撃作戦は完全な失敗ということですかな?」

司祭の男がシオンを責めるように切り出す。

「はいその通りです、僕にはまだ魔王を倒すだけの力がありませんでした。」

と素直に答える、すると司祭は

「ところで貴方たちを助けた者についてはどの程度わかっているにですか?敵か味方か、人なのかどうか」

と問い詰める。

「魔人を倒し僕らの怪我を治したことから敵ではないと思います、ただ人かどうかは分かりません。ただ小さな子供のような姿だったと言うだけしかわからなかったので。」

答えるシオンにも本当のことはわからなかった、すると司祭が

「それでは今回魔王城を攻めて魔族多数と魔人1体を倒し魔王軍に大きな痛手を負わせたと公表することにしましょう。」

「それは事実と少し違う・・・」

と言いかけたシオンに

「誰がではなくて何をの違いですよ、貴方は勇者としての責任を持つべきです。」

と言葉を遮られた、それに対してシオンは言葉が出なかった。


「あれは誰だったのだろう?人なのか?それとも・・・彼の力が欲しい。」

独り言のように呟く勇者。

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