ここで終わり(Side:クロード)





「なんだよ、ポイズンバッドだらけだし、狭くて魔法も剣も振るえねぇ!」

 俺は愚痴る。

 出だしから最悪だ。

「クロード、まだ足跡のない道があるよ!」

「よし、そっちに行くか!」

 急いで俺達はそちらの道へと向かう。

 斥候のベディが先頭になり進んでいく。

 少し進んで何もないから当たりの道かと思っていた。

 が。

 目の前には炎の化身イフリートと、サラマンダーの群れがいた。


 ごおっと炎が俺達を襲う。


 ごとん。

 一瞬でベディが黒い塊になった。


「「「「ひぃいいい‼‼」」」」


 俺達は逃げ出した。


 ごとん、と音が聞こえた。


 生々しい音が聞こえた。


 振り返ると他の仲間が鉄球に潰されて死んでいた。


 やばいやばい、このダンジョンやばい、逃げないと、逃げない──



 べちょり、べちょり

 何かが落ちてきた。

「スライム、ひぃ!」

 じゅうじゅうと俺の服や体が溶けていく。

「嫌だ、死にたくない……!」



『死にたくなかった私を殺そうとしたのは誰かしら』



 意識がもうろうとしていく中、俺はソフィアのくすくすと笑う声を聞いた──





 あ、これは報いか。

 仲間を裏切った俺達への──





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