007 ステータス、オープン!
前世では、自由恋愛、同性婚など当たり前だった。ミウもそれを否定する気は毛頭ない。そもそもそれは、当人達の意志で、お互いを好きだから成り立つものである。まさに自由な選択なのだ。
ルチル様は、内側から輝くような美しさに、流れる銀髪。芯のあるハンサム美人なので、自分達が伴侶になれないと分かっていたとしても、女性陣からのやっかみはすごいだろう。
これから先、自分がルチル様を好きになる保証はないし、ましてや高位貴族である公爵様のお相手は、ミウには過ぎたる名誉でしかない。
そんな単なる辺境伯の末娘でしかないミウ。
穏便な人間関係の為にお願いした最大の武器!
そうよ、私、神様に「縁切り」のスキルをお願いしたんだった。
あのスキルを今すぐ使おう。どうすれば、自分に付与されたスキルを確認出来るのかしら。
一般的な小説では"ステータスオープン!"って言うと出てくるのよね。
ミウは張り切って叫んだ。
「ステータス、オープン!」
…しーん。
「どうかなさいましたか?お嬢様」
部屋付きのメイドが慌てて駆けつけてきた。
「あ、いや、なんでもないの…」
4歳児だから滑舌が悪いのかしら、、
よし!気を取り直してもう一回!
「ステータス、オープン!」
…しーん。
部屋付きのメイドは、普段大人びた発言しかしないミウが年相応のごっこ遊びを始めた時思ったらしく、あらあら、ふふふっと微笑ましい顔をし、仕事へ戻って行った。
やばい!めちゃやばい!
スキルが無いよ。
これってただの転生?
たまたま前世の記憶があり?
それとも妄想よろしく勘違い?
中途半端なこの身体は「神の祝福」は無くて、単なる遺伝子だかホルモンの異常でこうなってる(ミニゾウさん付き)の可能性がある。その方がずっとリーズナブルだ。
現代医学であれば、生まれてすぐ、たまたま指が多いとか、なんかが付いてるとかの異常発生した臓器が確認されると、幼いうちに手術で取り除くのが普通だ。
しかし、この世界では「神の祝福」として、勘違い温存療法のようだ。
これはまずい…
「神の祝福」も無ければ、なんでも無いのに、身体の異常を理由に、好きでも無い相手、王子様ならぬ、お姉さまとの結婚が進んでしまう。
「おめでとうございます!」ぱあーん。
この世界にくす玉があるかどうか分からないが
「おめでとう〜祝!結婚!」の文字が頭に浮かぶ。
No〜!
声にならない声で叫ぶミウであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます