第8話 試し撃ち
「ここなら問題ないだろう」
公園をさっさと撤退した俺は、門をくぐって町の外に出た。そして街道を少し進んだところで若干道をそれ、他人の居ない場所で魔法の試し打ちとオーラの訓練を開始する。
ここなら文句を言われる心配はないはず。
「さて、中級魔法を使ってみるか」
中級魔法は、初級魔法を増幅して威力を上げた物だ。そのため威力以外は初級と根本的には変わらない。まあその威力上昇が肝な訳だが。
「最初は5割で」
増幅率は、増幅用の魔法陣に満たす魔力の量で変わってくる。ので、最初は5割ほど魔力を満たして使ってみる事にする。威力比較のために。
陣は三つ同時にイメージ。そして魔力チャージのタイミングを、魔法書に記載されていた順番で終える様にして魔法を発動させる。
「ふむ……」
放った水魔法が遥か遠くまで飛んでいく。
「5割で水の量が1,5倍程で……速度も上がってるな」
どうやら魔力のチャージは、推力の方にも影響する様だ。こちらもだいたい5割増し程である。
「飛距離は……もう一回初級も撃って確認してみよう」
初級魔法を放つと、その飛距離はおよそ40メートル程だった。ついで中級魔法を使うと、だいたい水の塊は60メートル程飛ぶ。
「飛距離も1,5倍、と。物理法則的にはどうなんだろうな?その辺りの公式はまだ学習してないから、よく分からないんだよな。ま、考えても仕方ない。次はフルで行ってみるとしようか」
次は完全に魔力を満たして中級魔法を使ってみた。超が付くレベルの簡単な予測を立てるのなら、初級の2倍の量で、速度と飛距離が2倍になる訳だが……
「あれ……質量と飛距離は予想通りだけど、速度は5割の時と変わらないな」
何故か速度は変わらない。不思議だ。因みに、ハーフチャージの中級魔法は初級の3倍位の魔力消費で、フルは4倍程となっている。
「威力的にはどうなんだろうな?重量かける、速度の2乗割る2が運動エネルギーだったはずだから……」
サラッと計算した感じ、威力はハーフで3倍ちょっと。そしてフルで4倍を少し超える程度と出る。
「そう考えると、威力と消費が連動してる訳だけど……風とか火はどうなんだろうな?」
水の魔法は体積からサクッと重量何倍と出して計算できた訳だが、そもそも質量のない風や火はこの考えに当てはまるのだろうか?そんな疑問を持ちつつ、次は火と風の魔法で試してみた。
「まあだいたい同じ感じだな」
見た目のサイズや速度の変化は水の時と全く一緒だ。ただ使ってみて驚いたのは、風の魔法が中級だと肉眼でハッキリ確認できた事だろうか。基礎や初級は薄っすらと緑だったのが、中級ではハッキリとした緑へと変わっていた。冷静に考えて、何故風に色が付いているのかは謎である。
……ま、異世界の不思議パワーに地球の常識を当てはめるのが間違ってるわな。
一つハッキリと言えるのは、漫画なんかでよくある、見えないから躱しずらい攻撃として活用する事は出来ないって事だけだ。
「ま、魔法の試し撃ちはこれぐらいでいいだろう」
周囲は草原であるため、大きな木や岩なんかはない。そのため、標的を撃ち比べて確認すると言う事は出来そうになかった。ので、魔法は切り上げて、次は爺さんから習ったオーラの修練方法を試してみる事にする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます