両者、愛

葵羽

第1話

私は恋していた。

いつも優しく接してくれて笑顔がかわいくて素敵な、幼なじみのあの子に。


私、遠山柊和とおやまひよりがくくんのことを好きになったのは中学2年生のころ。きっかけはクラスの席替えで柊和と岳くんが隣の席になったことだった。


「今から1時間目の授業を始めます。きょうつけ。礼。着席」

「お願いします」

いつものように学級委員長の号令とともに授業が始まる。


「はい、お願いします。それでは、国語の教科書56ページを開いてください」

私は国語の教科書を開いた。

「今日教科書を読んでもらうのは2月18日なので、2+1×8で24番遠山さん」

私は今日は当たらないだろうとすっかり油断していた。だって、足してかけると思わないじゃない。急に当てられた私は動揺した様子で立ち上がった。

「は、はい!」


不意を衝かれた柊和が教科書を読み進めていると、途中で読めない漢字が出てきたのだ。

「先生、この漢字読めないです」

すると隣の席の岳がフォローしてくれたのだった。


「岳くん、さっきはありがとう」

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両者、愛 葵羽 @kamatama822

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