第11話 王都へ
その後…
ナルシス「僕のフィアンセよ…どうか待っておくれ!」
サヤ「あーもー!あいつしつこすぎ!」
ロナ「こっちの話全然聞いてくれないし…」
三人はずっとナルシスに追われていた。特にサヤがだが…
逃げ切ったと思っても気づけばヒョイとどこからか出てくる。そんなことを繰り返し三人は疲れはてていた。しかし宿に入ればさすがに入ってこれないだろうと読み、三人は宿に駆け込んだ。
店員「人間の方がいるんですか?うちでは無理です…」
サヤ「ここだけの話、倍の金額払うからそのぶんあなたのものにすれば?」
店員「………わかりました!ぜひうちの宿に!」
現金な店員で助かった。部屋には鍵がかけられるため、どんなにしつこい奴でも足止めをくらう。
サヤ「やっと一安心できる…二人は大丈夫…?」
レド「疲れたがな…」
ロナ「あんなやつ殴り飛ばしてやれるのに…!サヤが止めてなかったら今頃星になってるわよあいつ。」
少し談笑した後、三人は眠りについた…しかし…
ナルシス「僕にかかれば宿の鍵くらい盗めるんだよね~…あとは女神のハートを盗むだけ…」
ナルシスは名声を利用して、弱い立場の者から何もかも奪い取る悪人だったのだ。位の高い者には媚びを売って後ろ楯をしてもらい盗みを働く…バレても大丈夫というわけだ。
ナルシス「あとは女神のハートだけど…既成事実作っちゃえば逆らえないよね…!」
そう、この極悪人は皆が眠っている間にサヤへ近づこうと企んでいた…そーっと三人が泊まる部屋の鍵を開けて中に入る。サヤへ近づくと…
ナルシス「よし…後は誓いのキスをするだけ…!」
と、キスをしようとした…が…
レド「お見通しっだ!!」
レドのキックがナルシスの頭に直撃。作戦は大失敗…ナルシスは気絶してしまった…
翌朝…
ナルシス「あれ…女神様は…」
サヤ「ここだよくそ野郎。」
行商人「あんた最低だな…嬢ちゃんを夜這うつもりだったんだと?そりゃあいかんな…」
あの時、サヤを乗せて町へと連れてきてくれた行商人だ。彼は商会の会長さんだったらしく、事情を説明すると快くナルシスの処罰を引き受けてくれた。彼自身も、ナルシスの悪行を知っており前から捕まえようとしていたのだとか…
ナルシス「あぁ僕の女神!なんでこんなことを?」
サヤ「私には最愛の人がいる。これ以上近づいたら命に関わるよ。じゃあねくそ野郎!」
そういい、サヤはナルシスの前から消えた。
行商人「かよわい嬢ちゃんを襲うやからは許しておけん…!処罰は重いぞナルシス!」
ナルシス「ぼ、僕を牢獄に入れたら後ろ楯が黙っちゃいないぞ!あんたの商会なんざ終わりだ!」
「あぁ…その件だが…お前の悪行を教えてもらったよ…爺さんに…」
ナルシスが後ろ楯にしていた者たちだった。
「もうあんたの後ろ楯なんか誰もしないぜ?どうなるか楽しみにしておけよな…」
牢獄の外では…
サヤ「あー…やっと何も気にしないで町を歩ける!」
レド「来るのを見越していたからよかった…お前になにもなくて…」
ロナ「本当に!サヤ…怖かったでしょ…?」
サヤ「ううん。レドを信じてたから…ね!」
レド「そうだな…」
レドは少し顔を赤くして頷いた。
町の人々はというと…ナルシスが悪人だと知らずに英雄扱いしていたことを後悔し、逆にそれを気づかせてくれた三人を称えるようになった。
「本当にありがとう…私たちどうかしてたわ…人間にもいい人がいるのね!」
そしてその噂は王都まで届き、三人は国王に招待された。
ロナ「私たちすごいわよ!魔族の国王にまで届いちゃうだなんて!」
レド「そうだな…サヤ、招待状にはなんて書いてある?」
サヤ「えーと…あなたたちの素晴らしい実績を信じ、国王があなたに会いたいと言っている。気が向いたらでいいが来てほしい…的なことが書いてあるよ。」
ロナ「それじゃあ早速…王都へ…」
サヤ「出発ー!」
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