ステージ後
「すごかった……。」
「あんな圧巻のステージだとはお母さんも思わなかったわ……。」
「あんなに成長して……。ステージで始める前のあの宣言してた時から少し泣きかけてしまったわ……。」
「流石は私の娘ね……。」
終わった後の感想は全員そのような言葉だった。そのくらいに今回のコンサートはすごかったのだ。
演出から曲まで、とにかく凄かった。
『須井くん。みなさんをすこし足止めしといてくれませんか?裏でのミーティングが終わればそっちに向かえますので。』
『了解。』
サクッとメッセージのやり取りを済ますと、僕は残りの3人に大川が少し待ってて欲しいと言っていたことを伝える。
しばらく待っていると、舞台上で着ていた紫のフリフリの衣装に身を包んだ大川がこちらに向かって走ってくる。
「大川さんお疲れ様〜!凄すぎて感動しちゃった……!」
僕の母親はそう言って大川にぎゅっと抱きついている。
「あはは……ありがとうございます。それよりも、私が終わるのがいつになるのかわからないのが申し訳ないんですけど、これから皆さんでご飯に行きませんか?」
そう言って大川は久しぶりに再開した小村さんの方をチラッと見ている。
「僕はいいぞ。多分他の3人も断らないとは思うけどな……。一応確認してみるか……。」
僕は後ろにいる3人の方をチラッと見ると3人もこくりと頷いてくる。
「いいってさ。気にせずゆっくり振り返りとか、してくるんだぞ?ちゃんと活動を継続するにはそうした方がいいからな。」
そういうと大川はこくりと頷いてくる。
「あ、そうですよ。須井くん、私がステージ上で宣言した時――」
「あーあー!知らないな〜。誰のことだろうな〜。」
「あ!そうやってはぐらかすんですか!?私あれすごく嬉しかったんですよ!?須井くんなら僕がやったんだぞ?みたいなこと言うと思ってたのに予想外です……。」
そう言ってしゅんとする大川を見て僕はもう、どうにでもなれと思った。
「そうだよ!僕が言ったんだよ。しかもあの後急にシーンとしたからめっちゃ恥ずかしかったんだぞ!?なんであのタイミングで静かになるんだよ……。」
そう、僕が応援のセリフを言った瞬間に急に会場が狙ったかのように静かになったのだ。
「でも、その静けさもあって私はすごく励まされましたよ。1人の声じゃあ奥までは流石にマイクがないと届かないので、大丈夫ですよ。安心してください。私が言うんです。大丈夫ですよ。」
そう言って大川は慰めようとしてくれていた。
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