大事なこと
「さて、今日は朝からの営業ですよ!ハードスケジュールになると思いますので皆さんで頑張りましょう!」
今日は大川ではなく、接客担当のクラスメイトがそう掛け声をする。
「では、用意に取り掛かってください!」
そんなわけで2日目がスタートし、僕たちは着々と準備を進めていく。
まだ公開前の時間なので生徒以外誰もいない学校で材料をせっせと運び込む。
「昨日と同じようにパンケーキの元を作り始めてください!今日は1日営業なので恐らく途中で材料が無くなると思います。その時点でパンケーキは終了にしますので、安心してください!」
てっきり追加で作らされると思っていた僕達はホッと安堵の息をつく。
「ただ、サンドイッチやドリンクは品切れになったら追加の買い出しをする予定です!なので、無くなりそうになったら報告してください!」
大川のその言葉で僕達は最悪のパターンを察した。
「なぁ、須井。これ、俺ら男子が買い出しに行かされるパターンだよな……?」
「多分……。そんなこと御免だけどね……。」
話をしながら用意をしているとあっという間に開始時間となる。
「ここから沢山お客さんが来るはずです!皆さん、頑張りましょう!」
キッチンでおー!と言ったはいいものの、買い出しという言葉が頭から離れない。
僕も1人の男子ではあるが、そんなに力がある訳でもないので正直買い出しには行きたくないのだ。
「あ、そうだ。須井くんと村川君にはお願いしたいことがあるんです。」
大川はそう言って僕たち2人の方へと歩いてくる。
「お、おう。なんだ?」
村川は少し警戒した様子で大川へ返答する。
「何をそんなに怖がっているのですか……。大丈夫ですよ。今から買い出しとかではないので。」
そういうと村川はほっと胸を撫で下ろす。
「ビビったぁ……。今から行けとか言われたらどうしようかと思ってたぜ……。」
「2人には買い出しよりももっと大事な仕事をお願いしたいのです。」
「大事な仕事……?それは僕たち2人でいいのか?」
「はい、いいんです。今日は宣伝に回る時があるのですがその時に私と一緒に宣伝周りをして欲しいのです。2人がいれば厄介ファンもある程度は対応できるでしょうし……。」
なるほど、そういうことか。そういえば何か手持ち看板を装飾の人たちが作っていた気がするのだ。
「結構重いので2人で頑張って協力して持ってくださいね。」
そう言って見せられたのは木の枠組みでできた手持ち看板だった。
これなら模造紙で良かったのではという思いは一旦しまい、僕はその看板の重そうな見た目を眺めるまま時間を潰していった。
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