4話
『凛ちゃん!』
—どうしたのだ?
『新井くんが、いや、千石くんが協力してくれるってことになったから嬉しくって!』
—そうだな。
『あっ、それとね、今日嫌な予感がするから気をつけてね?』
—あぁ、気をつける
そのまま走っていると家についた。
もう七時になっていたので両親は起きているだろうと思い、扉を開けただいまと言う。
そしてリビングに行くと、見慣れない光景が広がっていた。
「おかえり〜朝ごはん作ったから食べてね」
「えっ、あ、あぁ、いただきます。だが、母さんは料理が苦手なのではなかったか?」
私が驚いたように聞くと母さんは私の前に皿を置いてくれた。
「それがなんとねぇ、私の前世がシェフだったみたいでね。料理ができるようになったのよ!ニュースでは怖いことも言われてるけど、良い影響もあって良かったわ〜」
母の前世はシェフだったのか。とりあえず無害そうだ。
だが、少し気になることを言っていた。
そのあと、私の前に出されたごはんを食べ、質問した。
「ごちそうさま、美味しかった。母さん、先程怖いニュースがあると言っていたが、どのようなことだ?」
「あら、ありがとう。そうね、ニュースを見た限りだと、凶悪犯だった人達が強くなって、力を見せつけたいからって能力を使って市民を傷つけたりしてるみたいよ?」
家の中に入ったりもするみたいで物騒だとも付け加えて言った。
「そんなことがあったのか…母さん達も気をつけるのだぞ?」
「だーいじょうぶよ!お父さんが警察官だったみたいだから、いざとなったら守ってもらうわ」
「そうか、なら安心だな。そういえば、父さんはどこだ?」
「もう会社に出かけたわよ〜」
「そうだったのか。っと、私も学校に行かねばならぬな。制服に着替えてくる」
皿をさげ自室に行き、制服をとった。
上下を脱いでから、カッターシャツを着てネクタイをつけブラザーを羽織った。
下はチェック柄が描いてあるスカートを履いた。
準備ができたので学校に行こうと玄関に向かう。
その時、後ろから母さんが駆け寄ってきた。
「凛〜忘れ物よ!」
と、弁当が入ってそうな袋を渡してきた。
「これは弁当、か?」
「そうよ、私が作ったのよ〜ほら、気をつけていってらっしゃい」
「ありがとう。では、いってきます」
戸を開けて外に出た。
私は徒歩通学で二十分ほどで着くから、そう急ぐこともない。
歩き続けて、学校に近づいてきたところで声が聞こえた。
耳ではなく、頭から。
〈誰か助けて!〉〈早く!〉
これは…オトの力か?
『凛ちゃん!ヨチが学校が危ないって!急いで‼︎」
—あぁ、分かった!
私はすぐさま走り出した。
学校に近くなると、声も大きく聞こえるようになっていった。
頭もズキズキと痛む。
けど、そんなのどうだって良い。
誰かを助けられるなら進む!
走って走って走り続けて、やっとついた。
瞬間、轟音が鳴り響いた。
(どうか、無事でいてくれ!)
そんな気持ちでいっぱいになった。
私は上履きを履いて音のした方へ行った。
そこには私の親友である
心配になり、すぐさま駆け寄る。
「怜、なにがあった⁈大丈夫か?」
「凛が焦ってるの珍しいわね。私なら大丈夫よ…それと、この状況はあの人が突然来て、能力を使って攻撃を始めて起きたことよ」
「そうだったのだな…怜は下がっていろ。すぐに片をつける」
肩にかけていた竹刀袋から竹刀を取り出し、男と対峙した。
「貴様は誰だ?何故、このようなことをする」
「貴様とは失礼ですね。僕には
男はやれやれといった風に答えた。
それを聞いて驚くほど低い声が出たのが自分でも分かった。
「理由がない、だと?では何故、皆を狙った。何故、わざわざここまで来た?矢桐織、私は貴様を許さない」
「ふははっ、許さない、ですか。まるでヒーローみたいですねぇ。貴方になんの関係があるんですか?」
「親友が傷つけられた。お前を恨む理由はそれで充分だ」
「はっ、本当にヒーロー気取りでうんざりしますよ。では僕は
そう言って奴はカードを出し数枚をカッターのように投げてきた。
くっ、さすがにこの数を捌くのはきついか…
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