ほのほの短歌

犀川ほの葡

彼女の短歌

高く結い、顕わになった頸すじにそっとキスしておこられたいの


清廉を保つ彼女の真摯の美 世慣れぬ人と云われようとも


雨の日はあの子は白い薬を二錠 不機嫌な横顔がいとしい


銅色の針金のような細い声 ふるえる語尾に あなたの誇り


あなたから青い葉っぱの薫りがするの わたしのいない遠くを見てる


まばたきの合間に過ぎるパレードのひかりの欠片は彼女の髪に


冬枯れた木立のような老媼の洗練された少女の仕草


折り鶴は箔の千代紙 折り目よく手遊びでさえ あなたは清く


透明な雨粒ひとつ 選ばれしあなたの頬を飾る宝石


コトコトと、小さな音でゆったりと冬の彼女の黒い革靴

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