大丈夫、これが人生

りずな

1話完結

小さい頃から両親の仲が悪かった。家族で食卓を囲んだ記憶がない。つい最近離婚して引っ越しただけ。学校に行けなくなった。通信制高校に転校した。そんなごく普通のどこにでもいる女の子の家族へのお手紙です。


お父さん

 私には、お父さんがいない。厳密にいうとついこの間離婚した。一緒に暮らしていた頃からほとんど話すことがなかった。夜も何時に帰ってきているのかも知らない。家の一番奥の部屋に篭りっぱなしだった。でも、私はお父さんが大好きだった。私が学校から帰ってきてメイクしてたらドアを開けて「どこか行くの?」や「メイクしてるのキレイになったね」と言葉にして伝えてくれるようなお父さんだった。時にはウザくて適当に返事してたけどそれでも毎回声をかけてくれるお父さんだった。ただ、私以外の家族とは仲が悪かった。原因はお父さんにあったんだってね。私がほとんど記憶にない頃にお父さんは家族に手をあげるような人だったらしい。お母さんに手を挙げたり時には子供達にも手をあげたりする人だった。私にも微かに残っている記憶がある。まだお母さんと寝ている時夜中になるとお父さんとお母さんが私の横で喧嘩しているのだ。そういう時は寝たふりして過ごしてたんだ。それから喧嘩をしてほしくないからお母さんより遅く寝るようになった。他にも手を挙げられていたことのトラウマなのかはわからないが部活で大きい声で怒られるようになると過呼吸が出るようになってしまった。だけど、引っ越しが決まってお父さんと会った時に言われた「がんばってね」この一言にどんな意味が含まれてるかはわからないけどなんか泣けちゃった。ありがとう。大好きだったよ。


お母さん

 私が学校に行けなくなった時に最初はどうにかしてでも学校に行かせようとしてくれた。お母さんは後悔してるかもしれない無理に行かせようとして怖い思いをさせたかもとか、そんなことないよ。私に対して面と向かってぶつかってきてくれたね。私はそれが嬉しかった。だけどあの頃は毎日毎日泣いて叫んで物に当たって何も言わずに怒ってばっかりだったね。本当はね、知ってるのどうしたらいいのか携帯で調べてたこと。見ちゃったんだよね、知っちゃたんだよね。お母さんはお母さんなりに上手く付き合おうとしてくれてたこと。あの時ずっと一人暮らししたいって言って、理由はお前と一緒にいたくないとか、お前が嫌いなんだよとか言ってたよね。お母さんが会社休んだ時になんでいるんだよってぶちぎれたこともあったね。何回謝っても謝りきれないと思う。けど見捨てないでいてくれてありがとう。お母さんからしたらもっと早く離婚してたかったかもしれない。あの坂登るのきついしどこにいってもbおばあちゃんたちのご飯作らないといけないから帰らないといけなかったし、それでも私が離婚引っ越しの話すると怒るからずっと触れないでどんなに辛くても毎日私たちが楽しく普通の暮らしができるように働いて考えてくれてありがとう。ごめんね、ありがとうって何回言っても足りないと思うけどずっとごめんね。そしてありがとう。


お兄ちゃん、お姉ちゃん

 私が何かあった時に一番に頼るのはあなた達です。家族だから小さい頃から何があっても一緒だったね。私が覚えてる一番古い記憶はあなたたちとの記憶で、お父さんとお母さんが喧嘩した時に2段ベッドの上で子供会議したよね。覚えてるかな。あれ最終的にどうなったんだっけ、覚えてないや。小さい頃から2人の背中追って大きくなりました。でも、2人がソフトしてたけど私がバスケを選んだのは、比べられるのが嫌だったからです。でも、2人が私がわからない会話で盛り上がっている時は、仲間外れな気がして寂しかったです。

お兄ちゃんは、本当に優しさの塊みたいな人ですね。どこに行っても楽しそうで、いつもお兄ちゃんをとられたかのように思えて嫉妬してました。私が一番好きな話は保育園の時に6個下の私の部屋までわざわざ顔を見にきてたという話です。この話を聞くと毎回嬉しくなります。俺心理学習ってるからみたいなドヤ顔で話してくれる話はすごい面白くて私も心理学学びたいなって思うぐらいだったよ。もうダメだって思った時一番に電話しようと思ったのはお兄ちゃんだったよ。いつでも電話取れるようにしといてね。

お姉ちゃんは、自分のしたいことが明確で私にはもってないものを持ってたね。一途に自分のしたいことを持ってるお姉ちゃんはすごいと思うし、お姉ちゃんに対して嫉妬するとこでした。私たちは性格も顔も似ても似つかなくてクラスにいたら絶対仲良くならないなんなら嫌いとまで言ってたね。だけどお姉ちゃんとしてはどこに行っても自慢だったよ。私の位置情報見て家から動いてないってお母さんに連絡してくれたっていう話聞いてどこにいても気にしてくれてるって思うと心強いよ。たくさん喧嘩して余計な一言言っちゃうけど何があっても味方でいてね。

2人とも一生に味方でいてね。私も一生味方だからね。


 とりあえずここまでお疲れ様。ずっと同じ歌流れてるのも気にしないぐらい集中できてすごい。半年前まではこんなことになってるとは、想像もつかないと思う。クラスがかわって、学校に行けなくなっちゃったね。いまだに原因なんてわからないよ。今までもこれからもないくらいの暗黒期だったね。誰にも言ったことないけど、毎日次の日が来るのが怖かったね。何回もうこの世界から消えようと思ったかな。誰にも言えない、一番仲がいい友達にも相談できなかったね。でも、大丈夫、今の私が言うんだから。自分はこの世界にいなくても変わらないとか思わないでね。学校行けてないから嫌われるとか思わなくていいからね。通信制高校に行くって言ってもみんな何一つとして変わらないから。報告する時もみんなそんなもんかって言ってくれるよ。たかがそのくらいだからね。そんなに毎日泣かない、笑えそしてたくさん話すんだよ。そしたら、自然と前向けるんだから。何があっても自分は味方だし、生きてるだけでプラスでしかないんだから。耐えろ、吐き出せそしてここまでおいで。今は自由にのびのび暮らしてるよ、引っ越したら家の場所わからなくてあと200mの場所で迷子になるよ、バイト3つチャレンジして全部合わなくてやめちゃうよ、どこにでも歩いていけるよ。いいことばかりではないけどね。もともと住んでた家の周りにいけなくなっちゃうよ、元の家で撮った写真・動画見れなくなっちゃうよ、夢でお父さんの夢見たり寝る前に泣いちゃうよ。それでもあの時の私やばかったよね、学校行ってなかったよあの時とか話せるようになるからね。大丈夫、なんとかなるよ。

それが私の人生だから。

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