今からヤクザは自警団になりました
月葡萄
第1話 発表一か月前
20XX年、四月二日。
突然政府は国民が驚く内容を発表した。
それは━━━ヤクザは今日から暴力団から自警団に変わることを発表した。
ある高級料理店の入口前に数台の黒い車と黒スーツを身に
その店の大広間の真ん中に、座布団を座っている二人の男がいた。
一人は白髪の老人━━━九条組組長、九条栄次郎。
その横に座って、眠そうな表情をしている若い男━━━九条組、
「組長...なんで俺らここにいるですか?」
「俺が聞きたい...」
数時間前の事。
九条と如月が外食で昼食を食べ終えて帰路に帰ろうとしていた。
その時、黒の車が如月の横を通り過ぎようとした時、突然黒スーツの男達が現れて二人を誘拐した。
「アイツらなんですかね?質問してもスリーサイズと好みの女の子としか言いませんでしたよ」
「そうだな...え?そうなの!?」
予想外の言葉に、九条は思わず如月に顔を向けた。
「じゃあお前、ここに着くまでそんな事を話してたのか...」
「ちょっと組長...そんな事って酷くないですか?」
「そりゃもう俺には関係ねぇからよ」
九条は妻である正美と、息子の遥斗、娘の望のことを思いながら言うと、如月は茶化してきた。
「そっすよね...もう組長はジジィですからね」
「お前が俺のことをどんな風に思ってるのかよーく分かったぞ、腐れタンカスマゾハゲ野郎」
「俺マゾでもハゲでもありませんよ~ハゲって言ったらは組長デコハゲでしょ。まぁそんなことはゴミ箱にシュートして」
「てめぇ後で覚えとけよ」
九条は如月のことを睨みつけたが、如月は気にせず話した。
「てか聞いてくださいよ組長。車の中で話していたやつが、女はボンキュッキュッが一番なんですってさ。普通ボンキュッボンですね?」
「いや、俺はボンキュッキュッだ」
「え?うそ...」
二人がそんな会話をしていると、突然、
開くと、黒スーツを着た男が入ってきて、いきなり二人に向けて頭を下げた。
「手荒な真似をしてしまい申し訳ございません九条組長、如月さん。私は
その言葉を聞いた如月は笑みを浮かばせた。
「あんたが俺らを拉致るように指示した首謀者か?」
「いえ、私ではありません」
きっぱりと言い、狂華は頭を上げた。
「首謀者は私の上司兼友人です」
「そうか...ところでその首謀者は今何処にいるのかね?」
「今こちらに向かっております。後五分でこちらに着きます。なので待ってる間...」
狂華は胸内ポケットに手を入れたと瞬間、九条と如月は警戒した。
もしも銃ならば、いつでも持ちあげれるように如月はテーブルの下に手を置いて構えた。
九条はいつでも反撃できるように、懐にしまっていた銃を手にかけた。
しかし、九条と如月が予想していたのと違う物を取り出した。
「私と一緒にトランプでもしますか?」
「...は?」
予想外のものを見せられて如月は目を見開いたが、狂華は気にせず言葉を続けた。
「初めはジェンガを持って来ようかと思いましたが、トランプの方が色々と遊べるのでトランプを持ってきました」
嬉しそうに淡々と話すと狂華に、九条と如月は頭が追いついていなかった。
狂華は近くに置いてあった座布団を持って、九条の横に座った。
「それではババ抜きにしますか?」
「いや待て待て!」
如月は立ち上がり、狂華に指を指した。
「何組長の横に座ってんだ!組長の横に座っていいのは俺だけなんだよ!」
「如月...」
九条は思わず口角を上げた。
「青二才が何を言ってる...まぁ俺もお前が横にいたらあん───」
「それに俺はトランプよりもUNO派だ!UNO持ってねぇのに組長の横に座んな!」
「えっと念の為にUNO持ってきたのですが...」
「横座って良し!」
「良しじゃねぇよボケ!!!」
九条が怒声を上げて如月にプロレス技をかけようとした時、再び襖が開いた。
襖が開く音が聞こえて九条は手を止めると、襖の方にスーツ着た一人の女性がいた。
「すみません遅れました」
その声に聞き覚えがあった九条と如月は女性の方を見ると、二人とも目を見開いた。
「お、お前...」
九条と如月が驚いていることに気がついた女性は満面の笑みを浮かばせて、手を振った。
「久しぶりだね。組長さん、きさっち!」
今からヤクザは自警団になりました 月葡萄 @Isabi
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