第4話
『聞こえているか』
――そしてこれが、走馬灯ならざる死に
『聞こえているか、真中ヒロト』
誰かの声がする。もう
俺は静寂を乱す呼吸もなく、声に聞き入った。
『君を助けよう』
え……?
『その命、助けてやると言ったんだ』
願ってもいない天啓に、
神か。でなければ、どこぞの悪魔か。
死にたくないのは山々だったが、さりとて現世にしがみつくに足るだけの理由が思い至らない。
ならばこのまま、大人しく死を受け入れて――、
『このまま死んで、本当にいいのかい?』
「――――」
そう問われて、死にかけた喉が詰まる。
『彼女らと、あの終わりのまま死に別れて――本当にいいのかい?』
止まりかけていた心臓が、死力を振り絞る。
「知らない」と袖にしたなつめ。
「関係ない」と切って捨てたまりか。
決して
それは……とても、よろしくない。
謝るとまではいかなくとも、幼馴染の、義理の兄の真中ヒロトとして向き合わなければならない。
「……たくない」
そうと決まれば、カラカラに乾いた唇から
「死にたく、ない……!」
『承った』
声は静かに、そう応じた。
『――君の命を、しかと救おう』
その瞬間、光が満ちた。
乳白色のあたたかな光は、俺のボロボロの体を包み込む。最早秒読みだった命に、生気が戻る。みるみるうちに体は元通りに治って、そして――。
『――
そして、
『相応の対価は支払ってもらうけれどね』
「な――」
なんか知らん謎マスコットキャラと化していた。
「なんじゃこりゃああああああああああああああああ!?」
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