フルオート自主規制

「配信を切って——」


 俺は目を閉じながらびかりに言う。


「大丈夫です。配信はすでに切っています」

「マジか……よかった」

「うちのドローンは、フルオートでR18規制をします。だから今、リスナーには見えていません」

「ふう……先に言ってくれよ」


【配信コメント】

『ああああああああ! 何も見えねええええ!』

『湊様だけずるい!』

『ヒーラーちゃんのおっぱいががが』  


 突然のブラックアウトに、


 配信コメントは阿鼻叫喚だ。


 実際、かなり焦った。


 俺の視界に広がる世界が映ったら、


 即、アカウントBANだ。


『それにしても、湊様に乳を見せるなんて、羨ま……けしからんですねっ!』

『大葉様、今、性欲をもてあましているんじゃありませんか? うふふ♡』


 ぴかりと宮下さんがインカムでコメントしてくる。


 だが、今の俺はそれどころじゃなくて。


「キミたち……とりあえず、すぐに服を来てくれないか」


 俺は目を閉じながら、4人に向かって言う。


「しかし……」

「気持ちだけで十分だから」


 しゅるしゅるしゅる……


 衣擦れの音。


 服を着てくれたみたいだ。


「とにかく、キミたちが無事でよかったよ。じゃ、俺は最深部を目指すから」


 俺が立ち去ろうとすると、


「ま、待ってくださいっ……! せめてあたしたちを【奴隷】にしてくださいっ!」


 剣士のエリンが俺の足にすがる。


「……ど、奴隷?」


 な、何を言ってるんだ?


 俺の前世ならともかく、現代で奴隷はダメだろう。


「いやいや、奴隷とかないから」


 俺は断ろうとするが、


『いえ、英雄級探索者の大葉様なら、主従契約を結べます。せっかくですから奴隷にしてみては?』


 インカムで宮下さんのコメントが入る。


『おいおい。国家公務員が奴隷OKとか言って大丈夫なのか?』

『奴隷の所有は、英雄級探索者にのみ認められた特権です。英雄級探索者は世界を救う存在。奴隷も必要です』

『いや、いやいやいや、意味わからんから』

『本人たちが望んでいるなら、何の問題もありません。彼女たちの好意に応えてあげては?』


 4人の美少女は、俺の答えをじっと待っている。

 

「俺は——」



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