幼馴染に振られた俺、ダンジョンで人気配信者の姫騎士をオークから助けてバズる。大手配信者事務所からデビューが決まったけど、今更戻りたいと言われても無理です〜

水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴

幼馴染に振られる。そしたら吹っ切れた

「あたしが湊に告白されるなんて……吐き気がする。おええ」


 昼休み、探索者高校の屋上。

 俺の幼馴染、美夜が言い放った。


「もう終わり?」


 美夜はひどくイラついている。


「どうして俺じゃダメなんだ?」


 俺なりに美夜に尽くしてきた。

 宿題もよく見せているし、俺の少ないバイト代から金も貸している。


「言わなきゃわかんないわけ?」


 害虫を見るがごとく、蔑んだ目で俺を見下す美夜。


「湊がだから」

「雑魚……?」

「Aクラスのあたしが、Dクラスの雑魚と付き合うわけないでしょ?」


 美夜は成績トップのAクラスで、俺は底辺のDクラスだ。


「あたしが好きなのは——太田くんだから」

「太田……」

「太田くんは湊みたいな雑魚とは違うの!こないだレッドワイバーン倒したんだから!」


 落ち込む俺を見て、美夜はほくそ笑んだ。


「もう学校で見かけても、話しかけてこないで。底辺の雑魚と一緒にされたら嫌だからw」


 美夜はふんっ!と鼻で笑ったあと、俺に背を向けて言ってしまった。


「いったい俺は何をしていたのか……?」


 俺は屋上のフェンスにもたれかかった。


「もう隠している必要もないか……」

 

 美夜のおばさんに頼まれて、これまで美夜をサポートしていた

 2時間以内に3体のゴブリンを倒す入学試験。こっそりデバフをゴブリンにかけて、簡単に倒せるようにしてあげた。

 早く倒せたおかげで、美夜はAクラスになった。


(昔はいい奴だったのになあ……)


 俺は目を閉じて、静かに口ずさむ。

 現代では失われた魔法――古代魔法の詠唱だ。

 古代魔法を使えるのは、たぶん(というか絶対)この世界に俺しかいない。


解放リリース……!」


 俺の全身が、緑色の光に包まれる。

 自ら封印していた力を、解放リリースした。

 

(おお……! 俺の力が戻ってきた……!)


 俺の力――それは、前世の勇者としての力だ。

 俺の前世、勇者アリオス・フォン・ブライハイト。

 【剣聖の勇者】と呼ばれた伝説の英雄――他人が勝手に、俺をそう呼んだだけだが。


 俺は今までずっと、ダンジョンに入るのを避けてきた。

 ダンジョンで俺の力を解放すれば、ダンジョン自体が消滅してしまうからだ。


(やっぱり力を抑えていると、いいことないな……)


 美夜のことは、もう吹っ切れた。

 これからは俺の自由に生きよう。


「よし! 俺もダンジョンに入るか!」

 


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不遇スキル【鑑定】はどんな魔物の弱点も見抜く最強スキルでした〜「鑑定は地味でバズらない」と配信者ギルドをクビになった鑑定士、うっかりS級ボスをワンパンしてバズる。今更戻れと言われてももう遅い

https://kakuyomu.jp/works/16817330666288049384


 

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