第222話 増える犯罪者
《ハイド視点》
クソッタレが! 型に
暴れているのが始めたばかりの新規であるのに…………最初からやっているプレイヤー達が押されている。レベルは間違いなくこっちの方が上なのだが、想像難い武器に奇妙な戦いがこちらにリズムを取らせてくれない。
「あははは! 姉さん、回して!」
「任せて。しっかりと握りなさい」
今度はララがリリの左手を握り、リリが斜めになるように傾けた。その後、また独楽のように振り回し始めた。この時、リリは右手に車輪みたいなハンマーが握られたままで…………
「喰らえ〜、『大乱風車』!」
回り始めた2人、ハンマーから全方向へ出鱈目に斬撃が放たれ始めた。まだ避難していなかったNPCごと巻き込む程の範囲もあった。傷付けられる街に、ハイドはなんとか止めなければ被害が広がると思い、自らが受け止めようとした。
だが、その前に2人が別のことをしていた。
「そろそろいいわね。投げるわよ」
「うん!」
「ん〜、はぁっ! S極とS極!」
なんと、ララと言う少女は巨大なハンマーを持つ1人の少女を軽々と投げたのだ。ララも巨大なハンマーを使っていることからパワーは桁外れだとわかっていたが…………
リリが投げられた方向には、今から止めに向かおうとしていたハイドがいた。
「『大車輪』!」
「うおおおォォォォォ!!」
重い!! これでは……ッ!!
先程の『大車輪』は横向けに回っていたが、今は縦向けに回っている。その攻撃を大斧で受け止めるが、レム達から強化魔法を貰っているパワー型のハイドでも重いと思う程だった。
「私達のパワーだけじゃないわよ。磁力の力も加えられているもの」
ぶ、武器が!!
ララが投げる時、磁力の反発力を使って推進力を更に加えていたから、その威力はハイドが想像していたよりも高まっていた。
正面から全ての力を受けていたせいでハイドの武器が耐久力を一瞬でごりごりと削られていき、破壊されてしまう。
「うがががぁぁぁぁぁ!!」
「ハイドさん!?」
武器を破壊され、重装備だったハイドは鎧を凹まされながら背後の冒険者ギルドへ突っ込んでしまう。重装備だったお陰で体力はギリギリ残ったが……ほぼ瀕死である。
「はい、戻りなさい。N極とS極」
「あいよー。このまま、冒険者ギルドまで行くつもりだったけどハイドって人に受け止められちゃった」
ララがヨーヨーみたいに投げたリリをまた磁力で引き寄せた。引き寄せられたリリはピョーンと身体が後ろへ引っ張られるが、空中で態勢を立て直して着地する。重いハンマーを持っているのに、バランスを崩さずに着地出来ていることから、運動神経もとても優れているのだろう。
「うぐっ!」
「大丈夫ですか!? 今、薬を!」
レムがハイドの元へ走り出そうとした時ーーーー
ドバァッ!!
突然に、冒険者ギルドの2階部分から爆発が起きて、穴が開けられる。その穴から現れたのは…………
「まだ終わっていなかったでアルか? こちらは終わったでアルよ」
穴から出てきたのは、1人の男性。チャイナ服、袍(ぱお)と呼ばれている服を着ていた。
「な、ギルド長が!?」
「ぐ、貴様!」
「この人でアルか? 思っていたより弱かったでアルよ」
その男性は右手に傷だらけになったガッチリとした男性、冒険者ギルドのギルド長が引きずられていた。
「あ、タオ。終わったの? 仕事が早いね〜」
「予定のモノは?」
「手に入れたでアルよ」
リリが男性のことをタオと呼び、ハイド達は2人の仲間であるとわかる。中で警護していた仲間達はどうなったのか気になったが、潜入されてギルド長がやられていることから無事ではないのは確認しなくても理解出来た。
一体、どうなっているんだよ!! 俺達は決して、弱くはない筈! なのに、何故手が出ない!? クソがぁ…………
ギルド長がやられていることから、自分達は失敗したのだと。自分の無力さに悔しがるハイドであったーーーー
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