第199話 期待の新人
テイトクを倒したヨミは何処からかパチパチと拍手の音が聞こえて、そこへ視線を向けると……
「あら? 確か、ルダンだよね?」
「そうだな。仮面ちゃん……いや、ヨミと呼んだ方がいいか?」
「好きなように呼べばいいわ。それで、次は貴方達?」
拍手をしていたのは、トーナメント戦前のバトル・ロワイアルで戦ったルダンだった。ルダンも含めた3人のパーティがおり、軽傷を負っているが元気そうに見える。
次の相手になるかと思えばーーーー
「いや、ここに着いたのがついさっきで既に一時間は過ぎている。だから、俺らには挑む資格はないさ」
「こちらは後衛の2人が死戻りしてしまっているしな」
「だから、このまま戦うのは勘弁して貰いたい」
どうやら、3人は元5人のパーティで後衛が道中でやられてしまっているようだ。
「戦いたくないなら、それでも構わないけど無駄足だけになっちゃうじゃない?」
「いや、先程の戦いを見れただけでもここに来ただけの価値はあったさ。今回は諦めるが、次に活かせることもなくはないからな」
「それで拍手をしていたのね。まぁ、テイトクとの戦いは楽しめたわ。今回は見逃すけど、次にやる時は楽しませてよね?」
「あぁ、楽しみにしていてくれ」
今回はルダン達と戦うことはせずに解散することにしたのだった。
ギルドホームに帰ったヨミはリビングに全員が集まっていることに驚く。
「あれ、会議でもないのに皆が集まっているなんて珍しいじゃない」
「お、帰ってきたか!」
ヨミを待っていたようで、ジュンが呼び寄せる。そして、画面を見せられる。
「何が…………ん?」
「面白い奴が現れたぜ!」
その画面とは、イエローやレッドが使える裏の掲示板だった。掲示板を見てみると、ここにいるヨミ達以外のプレイヤーが1人いることに気付く。それだけではなく、名前と成績が普通ではなかった。
確かに面白そうな人かも。話してみるか。
PKプレイヤーの集まり Part9
《仮面ちゃんが入室されました》
268.仮面ちゃん(384戦384勝0敗)
初めまして。ヨミです。
269.ヨミ様を崇める者(50戦50勝0敗)
ヨミ様! ご挨拶をありがとうございます! 私は貴女のファンです!
この人こそが、ジュンが面白い奴と言った者である。ニックネームをわざわざヨミ様を崇める者と名乗るぐらいなので、ファンなのは嘘ではなさそうだ。面白いニックネームだが、それよりも成績が…………
「ヨミが去った後、街外のフィールドで事件が起きたらしい」
「無差別にプレイヤーを殺しまくったらしい。やられたのは新規ばかりだが、見守っていた高レベルのプレイヤーも何人かやられているようだ」
そんな事件が起きていたことに驚くヨミだったが、選ばずに無差別ではないと去った後の一時間ぐらいで50人も殺せるとは思えない。
「念の為に聞くけど、新規のプレイヤーだよね?」
「あぁ、俺が聞いておいたから間違いはない」
どうやら、始めたばかりのプレイヤーが無差別にプレイヤーを殺しまくったようだ。広場にはスカウトの為に来ていた強者もいたのだが、街外のフィールドまでは来ていなかったからなのか、負けることはなく50人を殺して生き延びているようだ。
ヨミが皆と話していた時に、掲示板で新しい投稿がされていた。その内容は…………
270.ヨミ様を崇める者(50戦50勝0敗)
ヨミ様。恐縮ですが、これから現れるだろうと思えるイエローやレッド達を纏めさせる役目を私にさせて頂きたいです。
ふむ? 何か企んでいるのかしら? ファンの振りをして、裏で第二戦力として動くつもり? …………それでも面白そうなことになるなら好きにさせてもいいわね。
271.仮面ちゃん(384戦384勝0敗)
構わないわ。好きにやりなさい。
272.ヨミ様を崇める者(50戦50勝0敗)
ありがとうございます! 絶対に貴女の期待に応えてみせます!
「いいのか?」
「構わないわ。敵になったとしても楽しめるなら問題はないわ。ただ、つまらないと感じたら潰すけどね」
「あは♪ 今は成果が出るまでは待ちだね♪」
新たに現れた期待の新人にこれからのイエローやレッドを任せてみることにしてみた。どんな結果になるかはわからないが、面白そうな予感がするヨミであったーーーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます