第170話 騎士団長の剣
黒騎士になったルクディオス殿下、騎士団長としてアデル王国の未来を守る為に剣を振るう。
「『閻雷』、アデル王国の敵は消す」
「魔剣か!?」
ルクディオス殿下が手に持っているのは銀嶺な大剣ではなく、蒼白い雷を纏う漆黒の大剣へ変わっていた。
ジュンが言った通り『閻雷』は魔剣であり、国宝クラスとなっている。国宝クラスらしく能力も化け物レベルである。
「『蒼雷』」
「『ホーリーバリア』ーーぐっ!?」
ジュンが咄嗟に聖魔法のバリアを張るが、ルクディオス殿下の放った蒼白い雷はバリアを透過し、そのまま突き抜けた。
「おい!?」
「だ、大丈夫だ。防御を無視出来る能力を持っているみたいだ」
「そうだ。それが『閻雷』が持つ1つ目の能力」
「チッ、まだ能力があるような言い方だな!?」
国宝クラスである『閻雷』は能力が1つだけに留まらず、他にあるような言い方をするルクディオス殿下。
《ジュン視点》
痛ってぇな、魔法に近いスキルだったからかダメージは少ないが……防御不可なのは面倒な能力だ。
防御不可に対して、大剣から速度に優れる雷属性を纏っており、回避が難しいことになっている。避けにくく防御が不可能の攻撃をしてくる相手に戦わなければならないことに溜息を吐きたくなるジュン。
ジュンは神官なので、魔法に対しては高い抵抗力を持つがダメージを全く受けない訳でもないので、何回も喰らってあげられない。
「No.4、行くぞ! 『破砕剛斬』!」
「神官の格好をして、ハルバードを振るうか。『雷巌流し』!」
遠心力を活かしたハルバードの上段斬りに対して、ルクディオス殿下は雷のようにスピードを使った受け流しを行った。その結果、ハルバードは刃を大剣の刃を使い、スピードが乗った力で無理矢理に受け流し、ハルバードが床へ突き刺さったのと同時に大剣の刃を返して下からの斬り上げをする。
「させっか! 『血赦熱輪』!」
「むっ」
ジュンの背後にいたジョーがジュンの両端から『血赦熱輪』が放たれ、ルクディオス殿下は攻撃を中断して下がることで避ける。先程のを見たお陰で、防御をすると液体に変わるのを知っていたことから回避が正解だと判断したのだ。避けた後、次の攻撃に移ろうとした先にーーーー
「『フラッシュ』!!」
「くっ!?」
その前に、ジュンが魔法を発動していた。ただの目眩ましだが、達人同士での戦いで数秒でも視界が塞がれると隙になりえる。
あの魔剣の全てを見せる前に終わらせる!
魔剣使いと戦うなら、魔剣の能力を使わされる前に倒すことだ。視界が見えていない状態で、ジュンとジョーは同時に武器を振るう。
「目が見えなくとも、わかる」
ジュンとジョーの攻撃は掠りもせず、背後へ通り抜けられてしまう。ついでに首を狙ったが、半端なプレイヤーではない2人はなんとか避けて、肩を斬り裂かれるだけで済んだ。
「やっぱり、何か感知能力を持っているな!」
「『エリアヒール』!」
回復魔法で肩の傷は消えたが、仕切り直しの状況になっていて、未だにもジュン達側の不利は変わらないまま。
「このままじゃ、勝てないな」
「あぁ、|普通のやり方(・・・・・・)ならな……No.3! 済まないが、アレを頼む!」
「……わかった」
近衛騎士のリーダーはまだ生きているが、戦っているのはネヴィルア本人ではないので、まだ余裕はあった。なので、ジュンからの要請を了承した。
「『逆転結界』」
結界を張る前に、ジュンとジョーは敵を前にして武器と装備の全てをアイテムボックスへ戻していた。その状況にルクディオス殿下は意味がわからず、警戒心から距離を取ってしまう。
「どういう……ーーーー!? な、何が!?」
ルクディオス殿下の身体が突然に重くなり、動けなくなった。
重くなって、膝を地に付けるルクディオス殿下とただの服に無装備で立っているジュンとジョー。
一体、何が起きたのかーーーー?
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