第160話 中ボスは鬼
「情報の共有だが……必要か?」
「いえ、いらないわ。ちゃんと読んでから来ているわ」
「なら、いい。『雷豪風塵鬼』は今までの中ボスとは違った強さがある」
「暴走族が付けそうな名前だけど……まぁ、油断はしないわ」
これから挑む中ボスは暴走族の名前みたいなネーミングだが、強さはアルベルトが認めるほどだ。名前にある通り、雷と風を操る鬼なのだが……気を付けなければならない技がある。
「どっちに来るかわからんが、避けられると思わない方がいい」
中ボスの部屋に入る前、最後に警告を残してから入っていくーーーー
「ぐぅっ!」
「ウゴガアアアァァァ!!」
先に入ったアルベルトが狙われたようで、一筋の雷がアルベルトに直撃し、気絶と言う状態異常を受けた。
雷豪風塵鬼 レベル42
レベルは42! 気絶は数瞬で解けると書いてあったけど……!
雷豪風塵鬼から攻撃を受けずに済んだヨミは咄嗟に敵とアルベルトの間に入り、攻撃を受け止めた。
「ウゴォォォォォ!」
「これは初見殺しよね……! 気絶する前に武器を盾にするアルベルトも大概だけど!」
「すまない、助かった」
アルベルトは最初の戦いでもこの技を受けたが、咄嗟に武器を盾にしたお陰で4本の腕を持つ鬼が振り下ろす剣を防げて、ダメージを減らしていた。気絶状態だったので、完全に防ぐのは不可能で最初から体力を半分以上も減らされた。
しかし、今回はヨミが防いでくれたお陰で無傷にこの場に立つことが出来る。
「数分したら、また放ってくるから気を付けろ!」
「カバーし合うしかないわね」
「ウゴガアアアァァァ!!」
最初の攻撃が失敗した雷豪風塵鬼は後ろに下がり、咆哮を上げる。そして、4本の剣に風の魔力が纏われる。
「嵐が来るぞ!」
「嵐ごと消し去ってあげるわ! 『乱月光波』!」
鬼は自分自身ごと回転して、風の刃をデタラメに放つに対して、大量の風の刃ごと消し去ろうと『乱月光波』を放つがーーーー
ドバァァァァァーーーーン!!
なっ、何が!?
風の刃と『乱月光波』がぶつかった瞬間に爆発が起きた。普通の爆発と言うより、空砲の音に近かった。
「風の刃は機雷でもあるようだッ!」
性質を見抜いたアルベルトは砂煙が漂う中で真っ直ぐに突撃し、近接戦を仕掛けていた。クラウ・ソラスとは違う剣を持ち、両断すると言うように大きな構えで振り下ろす。
勿論、大きな構えで振り下ろせば、隙をさらけ出すようなモノ。しかし、アルベルトは1人ではない。
「ギガァァァーーーガァ!?」
「視界を潰させてもらうわ!」
アルベルトの後ろから『魚群アロー』で少数のダメージと共に発生する光で眼を潰すように狙うヨミがいた。
眼を潰された鬼は反撃に失敗し、アルベルトから攻撃を貰ってしまう。まともに受けた攻撃だが…………
「チッ! 既に風の鎧を発生させていたのか!」
「離れなさい! 『夜天月斬』!」
まだ目が見えていない隙を狙い、追撃に黒の刃を放った。しかしーーーー
「硬いわね!?」
「あぁ、面倒な鎧だ」
正面から受けた筈だが、鬼の体力バーが思ったよりは減ってもいなかった。
「ゴガァァァァァ!!」
「薄い黄緑色の鎧から黄色に変わったわ」
「黄緑色は風の鎧、黄色は雷の鎧だ。反撃が来るぞ」
先程と雰囲気が変わった鬼。まだ戦いは始まったばかりだーーーー
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