第141話 準備期間
王城を落とすと言ったが、馬鹿正直に正面から攻めるつもりはない。何せ、戦力の差がありすぎて相手にはならないのは見えている。
「落とす為の準備期間は最長でも1ヶ月と考えているわ」
「どうして1ヶ月?」
その期間の基準がわからず、メリッサが質問する。何故、1ヶ月なのか? イベントでもないし、王城はなくならないのだ。国相手に挑むならもっと準備期間があっても良さそうなのだが…………
「そうね、プレイヤー達がダンジョンに関心を持っていられる期間はいつまでだと思う?」
「ダンジョンに……?」
「あー、成る程な。プレイヤー達がダンジョンへ関心を向けている間に進めたいのな。もうすぐで9月になるから……」
「わかった! 学生が多いこのゲームは夏休みが終わったらプレイ時間も減少して、ダンジョンに入る時間も減る。だから、ヨミはプレイヤー達がダンジョンへ目を向ける期間は最長で1ヶ月と考えている訳か!」
そう、ヨミはプレイヤー達がダンジョンへ夢中になっている間に王城を落としたいのだ。その方が邪魔をされる可能性も減る。
「まず、情報が欲しいの。王国の歴史、組織図、戦力等をね…………マミ、メルナはNPCの生産者と仲良くなってきて」
「NPCから得られる情報もあるしね。わかったわ」
「私も頑張ります!」
「あ、言っておくけど仲良くなりすぎないでね? 私達がやろうとしているのは、戦争なの。その人達を死なせる可能性もあるからね」
「えぇと……利用するつもりで仲良くすればいいのですか?」
「その方が心情的に楽よ」
メルナは苦々しい表情をしていたが、マミは素直でヨミの言葉に笑顔で良い返事を返す。
「あははは、マミも案外と普通じゃないのな」
「え、変ですか?」
「いや、ヨミとやっていくならそのままでいい」
「そうですか、わかりました!」
マミのことを知れたジョーがそう判断したが、これからもヨミに付き合うなら変わらない方がいい。
「さて、戦闘組なんだけど…………特にないよね。あるとしたら、レベル上げを頑張って欲しいぐらいかな」
「あ、ダンジョンのことは無視と言っていたが、流石に俺達1人も現れないとなれば、疑うだろ? 定期的に何人かがダンジョンにいるプレイヤー達を攻めた方が良くないか?」
「…………それもそうね、じゃあ。その役目は戦闘組に任せるわね」
「いいよ♪」
「プレイヤー相手ならやれそうだな。まぁ、死なない程度に頑張ることにしよう」
「そう、命をお大事によ。あ、ルイス。どうせなら元4位のとこに行って攪乱(かくらん)してきてよ」
「了解だ。王城を落とす話が出てからそうするつもりだったしな」
それぞれに役目を与え、残ったヨミ、メリッサ、ネヴィルアは…………
「メリッサ、ネヴィルアは私と一緒に行動ね」
「あら、何をするのかしら?」
「……もしかして、調べ物? だから、私にそのことを聞いた?」
実は、会議室へ集まる前にネヴィルアは冒険者ギルドで依頼を沢山受けていたことを聞いていた。
「読みが鋭いね。当たりよ、ネヴィルアが頑張って冒険者をしてきたお陰でギルド長から紹介状を貰えるわ。その紹介状はパーティに入っていれば、適用されるよね?」
「……うん」
「あ、ギルド長の紹介状に調べ物って図書館ね!」
そう、3人がやるのは図書館に入って王国の情報を探すことだ。図書館は情報の宝庫室でもある。絶対に何か見つかる筈なのだ。
「美味しい物は頑張った先にあるわ。それを私達で美味しく頂こうね♪」
やることは前代未聞のことで非情な事態になるが、皆はヨミの言葉に声を上げるのだったーーーー
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