第136話 第3回イベント 人形化
強化された人形達、アルティスの仮面による認識の惑いを受けることもなく、生身へ届く攻撃を繰り出してくる。
「操り人形といえ、連携が上手いわね!」
「……4パターンの陣」
大きな人形と騎士のよりも上位だと思える人形はネヴィルアの周りで待機し、10体の騎士の人形達がヨミを攻めている図になっている。
人形の動きはネヴィルアが直接に操っているよりも、ネヴィルアがするのは簡単な指示だけで後は人形達が自動で最適な動きをしてきている。
全てが最適された動きをしてくるなら、読みやすくなるが強化されている分だけ苦戦していた。
時間は掛かるけど、1体ずつ削っていくべきね。まだ何かあるかもしれないし。
ヨミは月光魔法での掃討をせずに、ドルマで1体ずつ倒す方向で行くことにした。理由は、ネヴィルアがまだ力を全て出しきっていないのと雑魚相手にMPを使い切ってしまう心配もあった。もしも、雑魚を倒してもまた召喚されるか修復される等の面倒なことをされたら無駄な消費になってしまうだろう。だから…………
まず、雑魚を余裕持って倒してから……一気に片を付ける!
騎士の人形を倒したら、推測していた通りに再び召喚するか修復してくる可能性がある。だが、それをしてくるなら隙も生まれてくる。
つまり、何かをしてくる動作をしてくる間に全力でネヴィルアを狙っていくつもりだ。もし、召喚や修復をせずに側で待機している人形を動かすならそれでもいい。ネヴィルアの守りが薄くなって倒しやすくなるのだから。
「『呪怨咆哮』!」
「……守って」
音の攻撃はネヴィルアへも届くが、自分の耳を塞いだ上に大きな人形が手でネヴィルアを守った。
「まだまだ、ナイフに……『魚群アロー』!」
次はナイフの投擲による嵐、光る魚の群れが守られているネヴィルアの元へ向かう。この攻撃に対して、側にいた人形達を前に出して盾にすることで防いだ。その動きで…………ネヴィルアは完全に視界が塞がれた状況になる。
ッ、今!
「『等倍速度』、『等倍筋力』、『破咬』ぃぃぃ!!」
パワー、スピードを上げて、人形の身体を斬り裂くか牙で噛み砕いたりと、人形を行動不可にしていく。視界が塞がれているネヴィルアは咄嗟に手と前に出た人形を退かすが、既に10体の人形は倒れ伏していた。それどころか、ヨミは既にネヴィルアの前まで辿り着いて、ドルマを振り上げるとこだった。
「終わりよ」
「…………ふふっ」
そのまま、ドルマを振り下ろせば終わるのに、ネヴィルアは笑っていた。まだ何かあるのかと警戒心が高まった、そのまま倒せばいいと思い、腕を振り下ろした。
だが、ドルマは振り下ろされることはなかった。
「……え? な、腕が!?」
振り下ろされた腕がボロボロ、無機質な素材みたいな腕になっており、破壊されたような状態になっていた。後ろには振り下ろした筈のドルマが地面に刺さっていた。
「……運が悪かったね。10%の確率を2回も引いて、更に両腕も」
「っ、ッ!!」
「……避けられた。速いよ。1本は脚だったら良かったのに」
まだ『等倍速度』の効果が残っていたから、咄嗟に後ろへ退いたから横にいた人形からの攻撃を受けずに済んだが……何故、こんなことになったかはまだわからないままだった。
「この腕……周りの人形みたいに壊れているみたい?」
「……うん、当たり。その腕は人形になったの。人形になる呪いが人形達に隠されていたの」
「……成る程ね」
ヨミは鑑定したことで、ネヴィルアの言葉と合わせて自分がどうなったのか理解した。鑑定結果には、『人形化』と出ていた。つまり、人形を倒すと10%の確率で両腕両足の部位を1本は『人形化』させられる呪いがあったのだろう。
ヨミは運悪く、10体の人形から10%を2回引いてしまい、しかも両腕が選ばれた。
「自分の力に耐えられず、両腕が自壊したとこね」
「……うん、これで武器は握れないよ」
ネヴィルアの言う通り、これではドルマを握れない。魔物使いとして戦うことは出来ても、ネヴィルアの人形相手に勝てるとは言い難い。
あとは、『魔融魂合』でドルマと融合すれば戦えるが……また人形を倒して、今度は両脚をやられたら詰みになる。
「…………はぁ~、ドルマとキッカは解除よ」
「……ただの魔物使いとして戦うことを選んだ?」
「いいえ? こうするなら、解除しないと駄目なの。ピクト、召喚!」
ドルマとキッカを武装解除した後にピクトを後ろへ召喚した。街で暴れたピクトはアルベルト戦の途中でプレイヤーと衛兵の協力で倒されたが、イベントのルールですぐ召喚出来るようになっていた。ピクトを召喚したヨミは…………
「ピクトと『魔融魂合』よ!!」
隠していたというより、出番がないと思われた手札、それを切ることになったーーーー
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