第127話 第3回イベント 準決勝
3回戦目はジュンとダンの戦いだったが、PSの差で決まった試合だった。ジュンは神官であることを生かした戦法、ダンは忍者としてスピードと様々な忍術を生かした戦法がぶつかり合い、良い試合をしていた。
最後は回復し続けるジュンに焦れたのか、大技の忍術で決めようとしたのがダンの失敗だった。大技を使う前に煙玉みたいな効果を持つスキルを使っていたが、それはジュンの隙にはならなかった。
むしろ、その煙がジュンの攻撃動作を隠してしまう結果になっていた。大技の準備をしていた隙に高速で動いてハルバードで叩きつけるスキル、『アクセル・クラッシュ』でダンに大きなダメージを与えた上にバランスを崩させた。それからトドメを刺すまでは時間は掛からなかった。
と、このように3回戦目は良い試合だったのだが…………次の4回戦目はあっさりと終わっていた。
4回戦目の勝者は黒い神官服を着ていて、手には不気味な人形を抱えた女性。名前はネヴィルア、蛮族みたいな男性の相手に大量の人形を生み出し、連戦で弱らせた後に大きな人形でトドメを刺すという圧倒的な数と力で勝ち上がっていた。
あのネヴィルアはまだ力を隠しているよね……。ジュンは勝てるのかしら?
相性はそこまで悪くはないと思うけど、ジュンはダン相手に全力で戦ったに対して、ネヴィルアという女性は全力を出しているようには見えなかった。
ジュンの手札がバレているからその差で少し不利かなと考えていた時、アナウンスが流れた。
『次は『仮面ちゃん』と『アルベルト』の準決勝が始まります!』
これから最強のプレイヤーに挑む。2回戦目でも本気を出すどころか、本来の武器を使っていなかった。超人と言える身体能力、PSを持つアルベルト相手に、ヨミは緊張は…………していなかった。
いつも通りに悪役として、何をしてでも勝つつもりだ。その準備も終わらせておりーーーー
「うひ、うひひひひ!」
笑う。仮面に隠された悪どい笑みを浮かべながら、転移のボタンを押す。試合となる戦いの場へ転移すると、同時にアルベルトも転移されるのが見えた。
『決勝へ勝ち上がるのはどっちか! 『仮面ちゃ「『封印』」ー!?』
まだ戦いの合図は出てない。なのに、アルベルトがスキルを発動したのだ。攻撃のスキルだったら、敵に当たるどころか発動も出来ないが…………アルベルトが発動した『封印』は相互に効果を及ぼし、ダメージを与えるスキルではなかった。
「……うひ、慌てて封印する程にアルティスの仮面が怖かったのかしら?」
「違うな。正体が知りたかっただけだ」
アルベルトの『封印』は自分のアクセサリー装備全てを装備不可能にすることで、『アルティスの仮面』を装備不可能にしたのだ。そうなると、仮面ちゃんは…………
『……えっ? 『仮面ちゃん』の名前から『ヨミ』に変わった!?』
司会者だったクイナも仮面ちゃんとしか聞いておらず、本来の名前を知らなかったので驚いている。それに、変わったのは名前だけじゃなくて姿を隠していた霧みたいなモザイクも剥がれていき…………
「うひっ、バレちゃったけど今となっては問題はないかな♪」
お嬢様の姿で現れたヨミに観客達は驚きの声が上がるのだったーーーー
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