第93話 誘拐
マリーナの街へ攻めるのはレッドのヨミ、ジュン、カロナ、ジョーとイエローのボウ、リーの6人だ。
「細かいとこは私がやっていくから、貴方達は二手に別れて、プレイヤーを好きに片付けなさい」
「細かいとこって?」
「多分だけど、マリーナの街にもハイトのパーティメンバーがいる筈よ。アルトの街にいるハイトに連絡されないように拘束する必要があるわ。私は戦ったことがあるから顔を知っているし」
もし、ハイトに連絡がいって、アルベルトを呼ばれたら、こっちのクエストをクリア出来る可能性が下がってしまう。もし、ハイトの仲間がいるなら連絡出来ないように両手両足を拘束する必要がある訳だ。
「私は先に行くから、そっちは任せたわよ?」
「あぁ、任せてくれ」
チーム分けとかはジュンに任せ、ヨミは仮面を外してプレイヤーが集まっている所に紛れる。ワールドクエストが始まるまであと10分あるので、それまでに見つけなければならない。
ふむ、ここに来るならある程度は実力がある人が来る筈。確か、ハイトのパーティにあと1人だけβ版のトーナメントで入賞したのがいたよね?
ルイスから聞いた話では、ハイトのパーティには第8位のレムと言う女性がいると。
しばらく探していくと…………見つけた。
「目立つメンバーに混じっていたわね」
マリーナの街にある広場では有名人が集まっていた。レムと言う女性がおり、その場には、打ち合わせの為なのかアルベルトの仲間である第2、3位のプレイヤーもいた。
「あと3分ね……」
ヨミはある物を起動した。
ドオォォォォォォン!!
「ッ、爆発音!?」
「あそこの建物が!?」
「何が!? これもワールドクエストの!?」
突然、街の中で爆発が起こって皆の視線が爆発した方向へ向けられる中で…………
流石、ルイスが作った遠隔の爆弾ね。後は、これを蒔(ま)けば!
次にヨミがやったことは、ルイス式の煙玉を広場全体に放り込むことだった。
「次はここに煙!?」
「一体、何が起こっているんだよ!?」
煙で視界が塞がれた中でヨミは仮面を被って、レムがいる場所へ突撃した。レムがいる場所へ着く前に、第3位である忍者の装いをしたダンが間に入って来たのが見えるが…………
「うひっ、甘いわ!」
「なっ!」
キッカで拘束して遠くへ投げ捨てた。邪魔になる者はナイフで切り捨てていたので、悲鳴でレムがこの状況を起こした犯人がここにいるとと理解して手に弓を持ったが、遅かった。
「がはっ!?」
「うん、気絶状態になったわね」
鳩尾(みぞおち)へ拳を正確にぶちこんで、気絶状態になったのを確認してから誘拐した。煙が晴れる前に広場から走りだし、魔法で煙を吹き飛ばした後は既にヨミは居らず、怪我人で倒れる人が目立っていた。
「レムがいない……? まさか、PKプレイヤーに拐われてーー」
ーーーこれからワールドクエストが開始されます。
「ッ、やられた! 皆様、早く自分の持ち場に向かって下さい!」
開始する前にレムが誘拐され、回復が必要な怪我人も出てしまった。そんな状況でも第2位のヒルダは冷静に指示を出していく。
レムのことは心配だが、この状況では救援に行くことは出来ないので切り捨てる判断をするヒルダ。
「向こうに……いえ、邪魔になるわ。PKプレイヤーはおそらく、こっちの街を狙っている。なら、私達で片付ければいいだけ」
「そうだな。さっきはやられたがもう油断はしない」
いつの間にかにダンが戻っており、やられた仕返しは必ずすると目を燃やしていた。アルベルトへ連絡しようと考えたが、向こうも戦闘で忙しいので邪魔をせずに自分らで片付けると決めた。
さて、誘拐した第8位は指を使えないようにして画面を操作出来ないようにすれば、あとは放置でいいかな。
ヨミはこの前、聖女を殺した場所の空き家にレムを隠す。連絡も出来ないように腕を後ろに固定して、目を隠す。
「うひっ、しばらくは大人しくしていてね」
「くっ、貴女は仮面ちゃんよね!?」
「そうよ。ワールドクエストが終わったらちゃんと解放してあげるからね」
今のレムには何も出来ない。ヨミはこれ以上に何もするつもりはなく、空き家を出た。
これで、ハイトには連絡は行かない。他の人も余裕がなさそうだったし、連絡されてもハイトまでに伝わるまで時間も掛かるだろうね。
後はアルベルトの仲間なんだけど、やられたからとすぐにアルベルトへ連絡はしなさそうかな。プライドも許さないだろうし。
後半は推測で確実じゃないが、ヨミの勘は結構当たるので勘を信じることにしている。
他のプレイヤーにとってはグダグダな状況にされた状態で、襲ってくるモンスターと戦わなければならない。しかも、ジュン達の相手もしなければならない。
ワールドクエストはクリア出来るのかーーーー?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます