第70話 墓場の中ボス 前半
現れた2体の人型中ボス。衣装が結婚式で着るスーツにウェディングドレスから新郎と新婦のモンスターであるとわかる。
新郎ゾンビ レベル25
新婦ゾンビ レベル25
名称も見た目通りになっている。普通と違う部分を指摘するなら、新郎がレイピア、新婦が魔導書を装備しているところだろう。
「2体か、どっちをやる?」
「私が新郎の方を抑えている内に、ジュンが新婦を倒しちゃってよ」
「まぁ、そうなるだろうな」
MDFがヨミより高いジュンが魔法を使ってきそうな新婦ゾンビを相手にした方が楽だと考えて、ヨミは新郎ゾンビを選ぶ。
「……うひっ、ドルマ! 行くよ!!」
ヨミは一先に新郎ゾンビへ突撃し、ドルマを振るう。新郎ゾンビもヨミの動きに合わせ、レイピアを突き刺そうと動く。アンデッドらしくない速い動きで目を見開くが、それで隙を見せることはない。
ガチ、ガチッ! バチバチ、バチぃぃぃ!!
「うひっ、スピードも技術はあの7位よりもあるわね!?」
「ほぼ互角か!? 俺もさっさと倒してやらないとな!」
ジュンの方も新婦ゾンビへ向かうが、途中で眉を潜める。目線は頭の上……体力バーへ向けられていた。
「体力バーが1本しかない?」
ボスとなれば、体力バーは複数あるのが当たり前だが……新婦ゾンビはそうでもなかった。
「あら、こっちも同じだわ」
ドルマとレイピアを打ち合っていたヨミも気付いた。新郎ゾンビも新婦ゾンビと同様に1本しかなかった。
「関係ないわ、倒してみればわかることよ!!」
「……それはそうだな」
1本しかないのは2体もいるからと考えられるが、とにかく倒してみればわかることだ。
「『レイ』!」
「『ダークエリア』」
ゾンビなら光魔法が弱点だと判断し、光の光線を放つが、黒い結界みたいな物に防がれてしまう。
「なっ、あれは闇魔法の『ダークエリア』! なら、物理だ!」
『ダークエリア』は弱い魔法を数回だけ防げる黒い結界であり、攻撃魔法はまだ『レイ』しかないジュンには邪魔な代物であった。だから、魔法では無理なら物理でと…………
「『ファイアストーム』」
「う、うおぉぉぉぉぉ!?」
近付く前に範囲魔法を撃たれ、必死に横へ飛び退くことで避けるが…………連続で魔法を放ってくる。
「『アイスブラスト』」
「ぐぅ!? 『ヒール』!」
「全く、さっさと接近しなさいよ! 『夜天月斬』!」
魔法のウェイトが短く、連続で放たれている為、ジュンは容易に近付けないでいた。それに焦れたヨミは無理矢理に新郎ゾンビごとレイピアを吹き飛ばし、また魔法を使おうとする新婦ゾンビへ夜天月斬を飛ばした。
次の魔法を放とうとしていた新婦ゾンビはヨミの攻撃に気付き、中断して回避をした。
「すまん、助かった! うおぉぉぉぉぉーー!!」
両斧は新婦ゾンビに当たると一気に3分の1も削られていた。
「物理が弱「『ダークヒール』」って、回復魔法もあるのかよ!?」
「成る程、回復魔法があるから体力バーが1本なのかもね……」
「グゴォォォ!」
「っ、雑魚モンスターを!?」
新郎ゾンビも何もしない訳でもなく、叫んだだけで地面から5体のスケルトンソルジャーが出てきた。レベルは15と低いが、ここで敵の数を増やされると面倒だ。
「あー、もう一気に攻めた方がいいわ」
「ヨミ?」
「先に新婦の方を落とすわ! 『乱月光波』」
墓場のフィールドはずっと夜になっている場所であり…………あとは何も言わなくてもわかるだろう。
ドバァァァァァァァァーーーー!!
2倍の威力になった『乱月光波』がスケルトンソルジャーを一撃で蹴散らし、新郎ゾンビの体力バーも半分を切っていた。すぐに新婦ゾンビの回復魔法に癒されてしまうが…………
「今よ、キッカ! 『拘束』!!」
ここで初めての活動になるキッカ。『拘束』で新郎ゾンビをしばらくだけ動けなくし、ヨミは新郎ゾンビを横切って新婦ゾンビへ向かう。
「ジュン! 今の内に、消すわよ!!」
「あ、さっきの……いや、あとで聞かせてもらうぞ!?」
一撃だけでスケルトンソルジャーを片付けた月光魔法のことを気になったが、それよりも新郎ゾンビが動けない内に新婦ゾンビを倒すことに集中する。
物理に弱いとわかっているので、魔法に気を付けつつヨミとジュンの激烈な攻撃で攻め……新婦ゾンビが落ちる。
「ガァァァァァ!!」
「もう遅いわよ。1対2では貴方には勝ち目はないわ」
ヨミの言った通り、新郎ゾンビは2人同時を捌くことは出来ないままにガンガンと体力を削られて…………30秒後に落ちた。
「終わったわね。中ボスにしてはあっさりだったけどね」
「……確かにあっさり過ぎるな。回復魔法持ちだったとしてもな……………………あれ、アナウンスが来ない?」
第ニフィールドの中ボスにしては弱すぎると感じた2人だったが、待っても討伐アナウンスが流れないことに疑問を浮かべた所に…………
『誓いますか?』
誰のかも知らない音声が聞こえたのだったーーーー
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