第58話 第2回イベント その2
「……まず、何処に行く?」
第2回イベントが始まり、プレイヤー達が次々に扉を潜る中でヨミ達はまず何処にするかと相談しようとしたら、側にいたハーミンが声を掛けてきた。
「ハーミン? 仲間達は?」
「……ここに来ているのは私だけ。お金に困ってないから、素材が豊富な方に2人ずつ」
ここに来ているのはハーミンだけで、仲間になりたそうな眼でヨミを見つめていた。
「別に好きにしたら?」
「……着いていく。その方が面白そうだから」
ヨミ、ジュン、マミに加えて、ハーミンも一緒に行動することになった。別にパーティを組む必要はないが、賭けをするなら相談出来る存在はいた方がいいだろう。
「モンスターレース、時間が決まっていそうだから先に確認した方が良くないか?」
「そうね、字面から競馬とあまり変わらなそうね……殆どの人もモンスターレースの方へ向かっているみたい」
ヨミ達も扉を潜るとテーマパークみたいな広場に出て、3方向に橋があるのが見える。橋前に冒険のゲームで出るような木で出来た大きな看板が刺さっており、それぞれにゲーム名が書かれていた。殆どのプレイヤーはヨミ達が考えていたのと同じようで、モンスターレースは時間が決まっている可能性があると推測しており、モンスターレースの方へ流れていった。
「私達も行くわよ」
橋を渡って歩き、扉前からでも見えていた闘技場みたいに大きな建物へ着くと、沢山の受付や画面が見えてきた。
「ほぇー、結構広いですね」
「まんま、競馬場だな……」
競馬場に行ったことがあるジュンだけは現実の競馬場と似ていると漏らしていた。
「あ、そこにルールが書いてあります!」
「えっと……」
入口前にはルールが書かれた看板があり、それを読んでいく。
『モンスターレース』のルール
1.掛け金の上限は2000ゼニまで。
2.モンスターレースは1時間ごとにレースが行われます。(レースは24回)
3.単勝だけです。
4.目先のレースにしか賭けることが出来ません。
5.レースに参加するモンスターは画面で紹介されますので、賭けるモンスターが決まったら受付でお金を渡して申し込めば、発券して貰えます。
6.当確したら受付で券を渡して、お金を受け取りください。
ふぅん、賭けられる金額はそんなに多くないし、他のゲームの合間に賭ければいいかな。
「む、注意書きがあるぞ?」
一番下にこんな注意書きがあるのを見つけるジュン。
※ただのレースと違い、モンスター同士の乱闘が起こる可能性もあります。
「これって、ただの競争じゃないみたい」
「……強いモンスターがいたら、それを選ぶ」
「えぇと、それだとレースじゃなくてバトル・ロワイアルになるんじゃ? 乱闘はたまに起こることで毎回、モンスターが潰し合う訳じゃないかな」
「かもね」
とにかく、一度やってみればわかると言うことで画面を見て、第1レースに参加するモンスターを確認していく。
「えーと、スライム、ウルフ、ゴブリン、スケルトン、ボア、バタフライで、1番人気はウルフですね」
「ただの直線ならボアだが、カーブもあるからウルフが妥当だな。これはサービスレースみたいなモノか?」
普通に考えれば、このメンバーならウルフが1番速い。だが、この『モンスターレース』はただのレースではなく、乱闘もある。最初のレースだからと、このレースは難易度が激甘のレースだと思っているプレイヤーが多く、ウルフに賭けるプレイヤーが多かった。証拠にオッズがどんどんと下がってきている。
「どうする? ウルフに賭けても、はした金にしかならなそうだが」
「……このレースは観戦だけで、次から賭ける?」
「うーん、私は大穴のスライムに賭けようかな?」
ジュンとハーミンは第1レースに賭けず見(けん)に回り、マミはオッズが20倍に下がったスライムに賭けるようだ。
「そうね、私はバタフライに1000ゼニ賭けるわ」
ヨミはなんとなく蝶のモンスター、バタフライを買うことにした。
「バタフライね、当たれば7倍で7000ゼニか。時間はあと30分か……」
券を買ったのはいいが、始まるまであと30分も残っている。
「なら、始まるまでに他のゲームを見ていかない?」
「いいですね。わざわざ橋を通らなくても、転移陣を使えば隣のゲーム場へ行けるみたい!」
「……賛成」
「行くか」
『モンスターレース』のルールを知れたし、空いた時間は他のゲームはどんなモノか見に行くことに決めるのだったーーーー
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