第57話 第2回イベント その1
日曜日ーーーー第2回イベントの日。
今回のイベントは3つの職業を解放する為に、3つの試練に挑まなければならない。参加出来るのは1人に1つだけだが、その試練は誰であっても1人がクリアすれば、皆の職業選択に加えられる。そういうイベントであり、難易度は高くないーーーー
「あら、イエローは辞退したの?」
「そりゃ、まだあのアイテムはまだ手に入れてないからな」
ヨミとジュンは『勝負師』の職業イベントへ参加すると決めており、ジュンの名前がイエローになってないことに気付いた。声を潜め、聞いてみると名前を隠せるアイテムはまだ手に入れてないので、死亡した先に普通の黒色へ戻したと言うことらしい。
「あの人達も名前を隠さずにイエローで暴れているのに、ジュンは……」
「あの人って、PKプレイヤーのことか? 俺はリスクを考えて動いているだけだ」
「リスク? 運営に垢バンされるリスクを負っているのを忘れてない?」
「うっ……」
悪役プレイをしてもらいたい為に、ゲームを無料でやらせてもらえているのに、その期待に応えずにいると垢バンされる可能性もあるのだ。ジュンもわかっているのか、眉を潜めていた。
「わかってんよ。もう少ししたら、ルイスのヤツが手にするだろう。それまでは普通に冒険を楽しむさ」
「今はギャンブルをしに来ているけどね」
今、特殊フィールドにおり、イベントの為に準備された場所で目の前にはカジノである建物がある。その建物はラスベガスみたいな建物ではなく、巨大な黄金を掘って出来たような盛り上がった蟻の巣と言えばわかりやすいか。
外見はカジノらしくないが、中へ入って見ると……ロビーがあってまだ大きな扉の先に進めないが、ホテルのような内部で驚いた。
「まだ進めないのか?」
「時間になっていないだろ。10時からと書いてあったから、あと5分ぐらいだな」
「金金カネカネかねかね…………」
「うわっ、ヤバいヤツがいる!?」
「あいつは…………」
「あ、PKされて所持金が減って、更に装備も壊されていた奴だ」
「あぁ……」
ロビーで待つプレイヤーの会話が聞こえる中、ヨミとジュンは入口辺りで突っ立っていた。そしたら…………
「あ、ヨミちゃん!」
「あら、マミじゃない。って、なんでここに? マミだったら素材の方が良かったんじゃない?」
「あ、今回は金や素材というより……ギャンブルをやってみたいんです。初めての経験なので」
「成る程~あ、一応、紹介しておくわね。リアフレのジュンよ。……あのことの仲間だから、フレンド交換をしておくといいわ」
「わ、わかりました」
「お前が前に聞いたマミと言う者か。確か、商売については任せても大丈夫とか……」
「は、はい。売りたいものがあれば、言ってください」
初の対面だが、マミは緊張しながらも挨拶をこなした。この間に手に入れた戦利品のことを話そうと思ったが、こっちへ近付いてくる存在に気付き、話を止める。
「久しぶりね」
「……むぅ、気付かれた。驚かそうと思ったのに」
近付いてきたのは『旅立つ青鳥』のハーミン。中ボスの件以来から会っていないので、久しぶりである。
「……パーティ仲間?」
「マミはフレンドね。生産が好きだから、時々素材を売っているの。ジュンはたまに組む仲間ね」
「ヨミは殆どソロだからな」
「……中ボスをソロで倒せる実力なら納得」
「そうね……あ、ホログラムが浮いているわ」
『皆様、お集まり頂きありがとうございます。私は案内人のログと申します』
時間になり、ロビーの中心でホログラムが映しだされる。そのホログラムはホテルの案内人が着るような服装で、案内人のログと名乗った。これからイベントが始まるから、その説明だろう。
『皆がわかっている通り、今回のイベントは新な職業を解放すること。ここでは『勝負師』という特殊職業となります』
『勝負師』はどんな職業なのかは、解放に成功してからわかると。どんな職業なのかは皆が気になることで、その職業を選ぶ気がなくても、知識欲が勝ち気を生み出す。
『この扉の先には、3種類のゲームがあります。『モンスターレース』、『人間ルーレット』、『マジックスロット』の3種類で遊んで貰い、指定額分を稼いでもらいます。誰かが1人でもクリアすれば、『勝負師』の職業が解放されます』
ふむふむ。指定額はいくらなんだろ?
『それぞれのルールや遊び方については、その場に向かえば、掲示板があります。ここで全体で適用するルールを少々説明致します』
ログが指を鳴らすと、ロビーにいる皆が見やすいようにしてある4面の大きな画面が現れ、そこにはルールが書いてあった。
1.勝ち分の指定額は10万ゼニ。
2.最初の軍資金は1万ゼニ。
3.制限時間はゲーム内で1日間。
4.掛け金はそれぞれのゲームによって違い、軍資金がなくなった場合はこの場から退場させられる。
5.他人へのお金の譲渡、強奪は不可。
6.ここで稼いだお金は全て本人の物となります。
7.途中でログアウトしても時間内であれば、ログインすれば元の場所へ戻れます。
手持ちに沢山のお金があっても意味はないわね。1万ゼニを10倍にすることね…………。制限時間は現実時間では6時間。なら、昼に抜けても余裕で遊べそうね!
ヨミは別に自分が勝てなくても、誰かがクリアすればいいと思っていた。今日は思いっきり遊ぼうと思うのだったーーーー
『では、これから扉を解放致します。ここでは喧嘩をせずに皆で仲良くお楽しみくださいーーーー』
ログの合図で第2回イベントが始まった。
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