第49話 ボスの弱点
赤いオーラを放ち始めたサテバウム。更に、女神彫像の眼から赤い涙が流れ始める。
「来るぞ! ……魔封がッ!!」
「ゴギャァァァァァ」
「うるさっ!?」
赤い涙が流れ、叫んだ時点で、強制的に魔封と言う状態異常に掛かってしまう。
魔封の状態異常とは、それぞれが持つスキルを3つ封印され、使えなくなってしまう。その制限時間は10分間。
「ギャー! 『回復魔法』と『斧術』がぁぁぁぁぁ!!」
「アタシは……『水魔法』が駄目になったわ」
「僕は全て、生産スキルだったので問題はありませんね」
「チッ、『身軽』と『身体強化』が使えん」
「私は…………ステータスが下がるけど、問題はないかな」
ヨミは『魚群アロー』、『武技不可』、『魔法不可』だったので、STRとINTが100も下がってしまうが、元からSTRは400もあったので、300もあれば、ダメージアタッカーとしては充分過ぎる程だ。
「赤いオーラが出た後は、魔封だけで終わらなかったよね!?」
「あぁ、赤い斑点が広がったから、弱点も広がるが…………げっ」
「『魚群アロー』!?」
サテバウムは地面から根っこを出したまま、身体から光っている魚が次々と出てきているのが見えた。この間、ヨミが倒した中ボスのサテライトが使ってきた技だ。何故、サテバウムかサテライトの技を使えるのかは…………
「今までの中ボスが使ってきた技を使えるのは、ちょっと難易度が高くないですか!?」
「俺もそう思うよ!!」
「触れたらダメージを受けるから、気を付けて!! あと、武器で防御をしてもすり抜けるからぁ!!」
「な、防御不可能なのかよ!?」
「魔法でなら、防げるけど……」
ヨミは自分が使うスキルと同じなので、対策方法も既に見つけていた。仲間にも打ち明けたくはなかったが、今は仕方がないと判断して、情報を開示していた。
「他の中ボスとは戦ったことがないから、どんな技を使ってくるかわからないけど、油断は出来ないわよ!」
「わかってんよ!」
皆は襲ってくる小魚を避けながら、攻撃を続けるが……根っこに邪魔をされてしまう。
魚群アローは数がサテライトの時よりも少ないからなんとか避けられているか…………
「何かが来るぞ!」
「羽!?」
今度は光る翼を生やし、羽を飛ばしてきたのだ。これは、おそらく『旅立つ青鳥』が相手をしたサテクロウの技だろう。
「小魚だけではなく、羽までも飛ばされたら、避けられないぞ!?」
「羽は迎撃出来るよね!?」
「ふっ……出来るみたい!!」
ナイフを投げると、羽に当たり打ち落とされた。小魚とは違い、当たったなら迎撃は出来るということ。
「なら、羽はアタシに任せて!」
「それは……またダークマターか!?」
ジュンの叫びを無視して、メリッサはダークマターαを投げ、紫色の煙を広げた。そうすると……
「え、羽が消える? 一体、どういうことですか?」
「忘れた? 煙には、猛毒と麻痺だけではなく、ダメージも与える効果があることを」
「成る程! 羽にダメージを与えて消したのね!」
「また麻痺になっているみたいよ!」
メリッサに言われ、サテバウムを見ると麻痺に掛かっているのが見えた。
「麻痺に掛かる確率が高くない?」
「ダークマターαがすごいのもあるが、元から麻痺に弱いモンスターかもしれん」
「なら、ダークマターαを使い続ければ、楽に勝てるんじゃ?」
「うおっ!? 毒の沼!?」
「麻痺になって根っこは動かせなくても、地形を変えるぐらいは出来るみたいね。でも……」
ヨミは毒の沼が出来る前の前兆が分かりやすすぎると思っていた。毒の沼などは問題なくサテバウムに近付ける。
「メリッサ、5秒の間隔でダークマターαを使い続けて!」
「わかったわ、任せなさい!!」
「こんな簡単に倒せるのか……?」
麻痺に弱いからか、ダークマターαを当てると必ず麻痺っていた。動けないので、毒の沼を顕現するしか出来ないサテバウムだが、ヨミ達には邪魔にもならなかった。
HPバーが残り1本だけになった時、赤いオーラが更に大きくなったが、麻痺になっている間は何も出来なかったようで…………
ーーー『ヨミちゃんと愉快な仲間達』様が大ボス、サテバウムを討伐致しました!
「あっさりだったなぁ……」
「すぐ、修正が入るかもしれんなぁ」
あっさり終わったことに物足りないヨミ達であったーーーーーー
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