いけいけ勇者様38

最上司叉

第1話

そして俺たち4人は家に帰ってきた。


俺は魔王を抱き抱えながら家の中に入る。


「あっ!!帰ってきた!!」


「魔王ちゃん!!」


「怪我してる、早く医者を」


「うん!!」


「それには及びませぬぞ」


爺やと盗人が帰ってきた。


「ささっ早く魔王様をお部屋に運んで欲しいですぞ」


「分かった」


俺は慌てて魔王を魔王の部屋に運びベッドに寝かせた。


「魔王様失礼しますぞ」


「…!!」


「魔王様すみませぬ、痛かったですぞな」


「だい…じょうぶ」


「ふむふむ、キズは深いですぞ」


「!!」


「治るのか?!」


「大丈夫ですぞ」


俺はその言葉にホッと胸をなで下ろした。


「できたよ」


そこへなにかの薬を持って魔法使いが部屋に入ってきた。


「ささっ魔王様」


「う…ん」


【ゴクン】


魔王は少し苦しそうに薬を飲んだ。


「これで大丈夫ですぞ」


「ありがとう」


俺はそう言いながら泣いていた。


魔王は少し悲しそうな顔で俺を見ている。


俺は涙を拭い部屋を出ようとした。


「ま…って」


「?」


俺は振り返る。


「ごめ…ん…ね」


「なんで謝るんだ?」


「う…うん」


「?」


俺は訳が分からず部屋を出た。


「すまぬのう」


ドラゴンの女が話しかけてきた。


「俺のせいだ…俺が弱いから」


「そんなことはないがのう」


「…」


そして俺は家を出て賞金首の魔物退治に明け暮れていた。


賞金首のチラシを見ながらもっと強いヤツはいないのか?と。


気がつけば1週間家に帰っていなかった。


後ろから誰かに肩を掴まれた。


俺は振り返る。


【ガシャーン】


俺はいきなり殴られた。


「魔王様にどれだけ心配かける気だ!!」


そこには魔王の婚約者が立っていた。


俺は立ち上がりながら言った。


「もっと強くならなきゃいけないんだ!!邪魔するな!」


「ふざけるな!魔王様がそんなこと望んでると本気で思うのか?!」


「!!俺は魔王を守りたいんだ…」


「とにかく1度帰ってこい!!」


そして俺は家に引きずられながら帰ってきた。


家の中に入ると泣きながら魔王が待っていた。


「魔王様お連れしました」


「魔王…キズは…?」


そう言う俺に魔王は抱きついてきた。


「心配したんだから…もう何処にも行かないで」


「…ごめん」


その場は静まり返っていた。


「本当に馬鹿じゃのう」


ドラゴンの女が突然喋りだした。


「お主はあの戦いでレア賞金首に勝ったのじゃろう?」


「あぁ」


「お主は確実に強くなっておるわ」


「!!」


そう言われればそうだ。


初めはあのレア賞金首に手も足も出なかったが俺は勝てた。


魔王がキズつけられた瞬間怒りが込み上げてきて俺の中のなにかが目覚めた。


「ドラゴンの女!!」


「なんじゃ?」


「外に出て勝負だ!」


「やれやれ、仕方ないのう」


そして俺は初めてドラゴンの女に勝った。


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