〜58〜クロウの見えない一閃
決闘は一対一。
タイマンで、同じ武器。
そして高い技量が必要となる。
神に約束を宣言し、行われる。
審判は公平でなければならない。
……戦闘法特別事例編からの引用……
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「私、籠山 陽炎は勝つことが決定した場合神に褒められる権利があることを宣言します……」
「僕、クロウは勝つことが決定した場合あるじに褒められたいです。あ、宣言します!///」
「その宣言をこのルーイが聞き届け、ここに決闘を宣言する。……両者構え」
二人は構へと入る。
「初め!」
その言葉と共に陽炎はクロウへと突っ込んでいく。
その速度は一般人には反応できない速度にまで到達する。
しかしクロウは一閃で避けてしまう。
なんなく方向を変えてしまうが陽炎はすぐに壁を蹴り方向を反転させる。
そのままの力で倒すのかと思われたが、地面に剣を刺し、その押し出す力と進む力で、クロウの頭上を優雅に飛ぶ。
クロウは華麗なステップを刻み、全ての攻撃を最小限の力、動きで躱していく。
陽炎の猛攻は風がこちらからでも感じるほどだった。
しかし、クロウは可視化しないような一閃を繰り出す。
まだ未熟な陽炎はわかることもなく避けれなかった。
だが、陽炎もクロウも立っていた。
その後、長い沈黙のあと陽炎が倒れ込む。
一瞬で周りの騎士団からは歓声が上がる。
まさに神と勇者の対決は摩訶不思議であり、今後ないような体験を目にしたのだ。
一人を除いてだが。
その一人はそう、光司だ。
そりゃそうだろう。
一般人があの戦闘をわかるはずもなくえ? 何があったの? と考え込む始末だ。
残念だな、光司。
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「ここは……どこだ?」
そんな陽炎の声が医療室に響く。
奥のカーテンには人影が一つ。
「起きたのね? 大丈夫?」
そう言いカーテンから出て来たのは若くしてメイド長に抜擢されたスピカさん。
これでも俺より少し年上くらいなのだ。
俺が17歳なのだが、スピカさんは21歳。
歳が近いのに大人びている。
陽炎から見れば優しいお姉さんのようなもの。
「負けたんですね、自分」
「そうらしいわ、でも戦ったクロウさんは『最後の攻撃は見えないはずだけど身体が少し反応してた、すごい』って言って褒めてたよ、頑張ったね」
そう言い陽炎の頭を優しくポンポンと撫でてくれた。
決闘のことも褒められたことも。
スピカさんに撫でられたことも、陽炎は嬉しいことだろう。
ホロホロと涙が溢れる。
もう歳なのかな……? (陽炎、違う。光司みたいになっちゃダメ)
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