~32〜男子では到底できない代物。 編集済
俺の家のリビングで円卓会議が行われる。
しかし円卓会議と言っておきながらテーブルは四角形だがそこは気にしないでおこう。
光司が雰囲気を演出、ん゛ん゛っ゛。(咳払い中……)
雰囲気を醸し出すことで程よい緊張感が出せると思ったのだが……。
「あるじ、お菓子食べながらやろうよ」
「いいね! じゃあ私は……クッキー食べたいかも」
お菓子食べながらやる円卓会議ってなんだよ、クッキーとか要望も出してるし。
やれやれ、と思いながら溜息を吐いた時。目の前にお皿が並んだ。
「嶺さん、コレをどうぞ。前に作ってみたんです。マスターもどうぞ」
「美味しそー!」
「ありがとう、アリス」
上手く作られたチョコチップクッキー。
食べてみるとサクサクの生地に、甘すぎもせず苦すぎもしないチョコチップが入っている王道のチョコチップクッキーだった。
「アリスの優しい暖かさや甘さも感じる……」
「マスター、別に変な惚れ薬なんて入ってないですよ?」
「そういうことじゃないんだけど」
あれ? 何するんだけっけ?
「そうだそうだ、今回の議題は『部屋割りどうするか問題』についてだったな」
「モゴモゴモゴ???(忘れてたの?)」
クッキーを食べながら話しているのはやめて欲しい。
やはり嶺はお転婆なのだろう。
「食べながら喋るな、もしくはどちらかにして」
「……ムシャムシャ」
いや、食べるのを選ぶのかよ。
まぁこのクッキー美味しいけどさ。
「マスター、今日は冴えているんですね」
「……あるじ今日は少し違う?」
何をおっしゃる。いつも通りだよ?
多分。
「まぁ、いいや。まず俺の部屋は……いつも通りかな」
「マスターは、もうあの部屋で決定ですね」
「そうだな……」
光司は元々の部屋で決定した。
そりゃそうか。部屋を移動する必要がないからな。
あの散らかり具合の部屋をどうこうできる範囲ではないんだよね。自分でも理解している。
でもアリスなら出来そうで怖い。
アリスってやるって言ったらやるし、なんでもできそうな万能感……凄い。
「あのー。私は、光司くんの隣の借りている部屋でいいですか?」
「別にいいぞ、」
嶺も俺の隣の部屋で決定だ。元々は姉の部屋だが中身はないからいい。
あんなドルオタ(アイドルヲタクの略称です)の部屋に嶺を住まわせることはできん。
周りにアイドルの写真やポスター、タペストリーとかが飾ってあるし、机には推しアイドル専用の飾るスペースがあったり、クローゼットの中にはアイドル雑誌や写真集が多数揃えてある。
そんなもの見たら発狂する自信ある。周りからアイドルが昼夜問わず見ているんだよ?
怖すぎる……。
というよりまず、姉がイヤがる。嶺も多分イヤだと思う。
分からんけど。
「僕はどうすれば……?」
クロウがいい質問をする。
「クロウか、そろそろ一人部屋あってもいいよな……じゃあ」
「「「じゃあ……?」」」
アリス達が声を合わせるほど気になったようだ。(多分違うと思う)
みんなが息を呑んだ。ここまで雰囲気を作ったのだから凄く重要なことなんだろう。
だがたった一言だけでこの雰囲気を一蹴するとは思いもよらなかった。
「和室でいいと思う」
光司はさっきまでの雰囲気を蹴り飛ばすかのように軽く言う。
本当にさっきまでなんだったんだよ、と言いたくなるほどにまでオチがなかった。
「わかった、あるじ! 僕、準備してくる!」
そう言うとクロウはタッタッタッと走っていった。
クロウはなぜが嬉しそうだった。やっぱり一人部屋が良かったのかな?
俺と部屋が一緒だったのが嫌だったら少し悲しいなぁ……。
「あぁ、尊い……」
「可愛いですよね、嶺さん。寝顔を見た時は撫でてあげたくなりましたね」
「アリスも分かるの?! 可愛いよね♪」
右隣の嶺が拝んでいたのは気にすると死にそうなんであえて言わない。
まぁね、可愛いのは合っているけど『尊い』ってなんなん?
知らんけど、いいや。(また、知能指数5)
隣でアリス達が仲良くしてるのはええなぁ……。(それを尊いと呼ぶんだよ)
そんなのより、アリスの部屋をどうするかだよな〜。
部屋があるにはあるけどあそこはやめておいて欲しい。
んー。
「アリス、部屋……私のところにくる?」
「嶺さんがいいのであれば、行きたいです」
ん? 話が終わった。
考える暇もなかった。なんでなんだろう?
女子って目で会話してるよね。
アレすごいよな。言葉を必要としない……。
なんとなくカッコいい。
でも男子には到底できない代物だと少し気を落とした俺だった。
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