限界総理キッシーが覚醒したってマ?

3代目あくせら

にゃんこの日まで

第0話 俺、絶対異世界転生している

 <サイド 城島叶斗じょうじまかなと(会社員)>

 2022年2月22日。

 昼2時過ぎても昼休憩に行ける雰囲気を欠片も感じないまま、職場の同僚と、ニャンニャンニャンの日に入籍するんだと照れたような笑顔で語っていた共通の知人の話を愚痴りながら、月末が近づくほどに加速度的に増加する未処理の書類と、いつものように俺は格闘していた。


 職場ガチャに成功して時間ができたことを幸いに一気に結婚まで関係を進めることに成功した同期共通の知人に、強い嫉妬心を抱きながら、その負の感情を目の前の書類と現職総理をはじめとする政治にぶつけていた。


 普段は昼食が遅くなったときのためにフルーツ味の簡易携帯食を常備していたが、生憎、昨晩から職場に泊まることになってしまった不幸な後輩に朝1つ差し入れたら、常備していた3つとメープル味まで含めた全てを召し上げられたことに気付き、小さくため息をつく。


 電話対応を続けている係長に、向かいのコンビニに出かけることをメモに書いて渡し、頷かれうなずかれたことを確認してから離席する。


 スマホを持ってコンビニに行く5分で気分転換し、3分の昼食タイムを取り、そして日付が変わる変わらないかの瀬戸際せとぎわに逃げるように帰宅する、そういう日常を送るはずだった。


 突然信号無視して突っ込んできたトラックに気がつくまでは、そう確信していた。


 2023年12月22日

 起きたら知らない天井だった。

 一命を取り留め、入院中だと思ったら、目に入ったスポーツ新聞がおかしい。


 2023年12月22日となっていることも驚いたが、一面トップになぜか政治の話が載っていることに、戸惑いしかなかった。これが不祥事とか辞任とかならまだ分かる。


 内容は、岸川総理が所得税法人税改正による減税を行ったが、それでも税収がさらに上振れしたので、それを還元する消費税減税施策を打ち出したというものや、岸川ドクトリンが世界で受け入れられてきている状況が細かに掲載されていた。


 俺の知っている岸川総理は、限界総理(国民の我慢が限界突破間違いなし)とよく話をしていた駄目総理だったハズだ。


 あの増税メガネとか財務省の犬とか呼ばれていた岸川総理が!!??

 岸川ドクトリンってなんだよ!!!?


 なんで岸川総理がいきなり覚醒しているんだよ????


 新聞を見せて貰うと、21日に国会で質問した政治家の採点結果と寸評まで載っている。いやいや、どこの人気リーグの選手だよ??これスポーツ新聞だよ???


 俺、絶対異世界転生している・・・。

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