贄姫ならぬ贄メイド?~私は一生独身だってば!~
ばやし せいず
1.今なんて言ったこいつ
昔々、誰とも結婚しなかったご当主様がいらっしゃいました。彼は妻の代わりに、一人のメイドを
最期まで、ずっと。
「セリアと言ったか。私には一切触れるなよ。その
「…………はい?」
私は涙で濡れた顔を上げ、旦那様の美しいご尊顔を
今なんて言ったこいつ。
床で寝ろ? 乙女に向かってそう言ったよな?
村一番の器量良しと
「……お言葉ですが、旦那様」
私はズビッと
「お互い触れ合わず顔も見せず私は床で寝て、それでどうやってやるおつもりなのでしょう? まさかやり方というものをご存じないのでは?」
「品の無い女を抱く趣味は無い。……床は言い過ぎたな。では、そこのカウチと毛布を貸してやろう。下手な真似はするな。俺が
彼は冷笑とともに、私の足元に毛布を投げつけた。本当に寝台には上がらせないつもりらしい。
(な……っ)
なんたる仕打ち。
私は
しかし、言いつけ通りにするしかないのである。
だって私は、ただの新米メイド。同じ貴族ではあるけれど、旦那様とは天と地ほどの身分の差がある。万が一恋に落ちたとしても、結婚なんてもっての外。
そもそも……。
(私はセリアじゃないんだよ! ぶわあああーか!!)
仕方なくカウチに寝そべり、暗闇にパンチを繰り出した。
右腕に巻いた赤いリボンの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます