琵琶法師がタイスリップしてM1グランプリを目指したら
転んで骨折
第1話 ライバル現る
かつて琵琶法師として栄華を極め、語り始めれば人だかりができ、語り終われば拍手喝采…人々は
それも今では、誰も彼の語りに耳を傾けることなく、素知らぬ顔で通り過ぎ、暇を持て余した子供らが冷やかしまじりに奇妙な合いの手を打つ程度。
人は皆、先週ふらっと現れた
これまで諸行無常を弾き語っていた
世は鎌倉時代、源実朝が征夷大将軍として太平を開かんとその辣腕を発揮する中、弾き語りしかできない
行く先々で
「ここでもか…」
「ここもか…?」
「ここまでも…!?」
人々は皆、
いつしか
そんなある日のこと、尾奈良空斎が新しい弾き語りを考案していると雲地出田の声がした。
尾奈良空斎は目が悪く、前がよく見えない。
けれども、そこには確実に近づいてくる雲地出田の気配があり、尾奈良空斎は咄嗟に逃げた。
雨が降って地面がぬかるんでいる山道を、川の流れる音を頼りに進み、人里離れた土地を目指した。
雲地出田の身にも、必ずや盛者必衰の時がくる!
再び琵琶法師として返り咲こう!
そう決意した尾奈良空斎は、地面のぬかるみに足を掬われ、川底へと投げ飛ばされたのであった。
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