名家から捨てられた治癒師は頼もしく成長し、多くの人々を助けていく

仲仁へび(旧:離久)

第1話



「しっかりしてください! 目を閉じないで!」


 呼びかけに応えなくなっていく人々を見て、私は涙を浮かべた。


 もう手遅れだ。


 間に合わない。


 救えなかった。


 機械列車。


 特殊な燃料を用いて走る機械の箱が、暴走した。


 事故で多数のけが人が出て、私が現地へ訪れた時にはもう手遅れの人が大勢いた。


 先ほどまで生きていた人達が、目の光を失っていく。


 そんな光景を目の当たりにした私は、自分の力不足を嘆くと同時に、現実の過酷さを痛感した。


ーー想いがあるだけじゃ、人を救う事なんてできない。


 それが新人治療師の私につきつけられた現実だった。






 私は治癒師だ。


 聖なる力を使って人々を癒すのが仕事。


 空気中にある魔力を体の中に入れて、聖属性に変換してから、他の人に与える事ができる。


 普通の人間は、人体の中に力を炒め込んだりできないけれど、治癒師は色々と他の人とは体の構造が違うらしい。


 普通の人間の体にはない、魔力蓄積結晶なる者が存在するとか。


 古代人の遺伝子がどうこうとかいう論文に書いてあった。


 古代人の遺伝子には愛が宿っていて、他者に対する愛情が比較的他の人間より強い。


 それによって、愛が奇跡を成して、治癒なる力を使えるのだーーうんぬん。


 どこまで本当なのか分からないけれど。


 そういうわけで、普通の人とは少し体の構造が違った私は、それを活かすため治癒師になる事にしたのだが。


 なかなか思う様にはいかない。


 事件・事故があって現場にかけつけても、それで間に合うのは一握り。


 すでに息絶えてしまっている人が多い。


 病院にかつぎこまれてくる人達を手当する治癒師も、同様の無念さを覚えているらしい。


 そんな私は個人の治癒医院で働いている。


 本当は大きな病院で働くつもりだったけれど、ある事件をきっかけに、そういう働き方を選んだのだ。








 今から数年前。


 治癒師の勉強をしていた私は、とある事件に巻き込まれた。


 立てこもり犯が銀行で立てこもった事件に。


 人質になったのは私だけじゃない。


 子供も大人もたくさんいた。


 立てこもり犯は錯乱していて、警察が何度も交渉したけれど、その努力は実を結ばなかった。


 立てこもり犯は聞く耳をもたずに、最後には、炎につつまれて、自殺してしまった。


 危機は去った。


 けれど、それに巻き込まれた人達がいた。


 片手では数えられない人達が。


 その当時の私には、応急手当の心得くらいはあった。


 病院に運び込むか、近くの治癒医院の人達がかけるか。


 適切に対処すれば、それまでの時間を繋ぐくらいはできたはずだ。


 でも、私は全ての人を助けたくて、優柔不断だった。


 命の取捨選択ができなかった。


「助かる人間と助からない人間の区別もつかねーなら、治癒師なんてなるな!」


 あの時現場に居合わせた、他の治癒師がそう叱ってくれなかったら。


 私は、助けられる人も助ける事ができなかったかもしれない。








 治癒医院に出勤した私は、数年前の回想を終えて、「おはようございます」とあいさつ。


 そして、色々な業務について考え始める。


 数日前に起きた列車事故のカルテ、他の医院にも共有した方がいいだろうか。


 特殊な事例もあったから、乗客の個人情報をぼかして、次への対策に活用しないと。


 など。


 そんな事を考えていたら、顔を出した医院長に頭をはたかれた。


「仕事熱心なのはいいが、自分の身くらいは自分で守れよ。最近物騒なんだからよ」

「分かってます。患者さん達の前や、外に出た時はちゃんと切り替えてますから」


 この人は数年前の事件で一緒に居合わせた人。


 この人の元で働けば、私は治癒師として間違わない。


 あの後、そう思った私は、この医院に勤める事にしたのだ。


 彼はこの医院の院長で、長年治癒師を務めている人。


 経験豊富だから、いつも学ぶべき事は多かった。


「そういえば、今日新しい人が入ってくるんじゃないですか? いいんですか? ぼうっとしていても」

「ぼうっとなんてしてねー。出迎えに行くついでに、お前の頭をはたいただけだ」

「ついでで、人の頭をはたかないでくださいよ」


 頭を押さえて文句を言う。


 この医院は、わりと分かりにくい場所にある為、新人の人が来るときは迷いやすい。


 だから新しい人が来るときは、誰かが店の前に出ているのだ。


 かくいう私も、その迷子になった一人だから反対意見はない。


「今日は患者さん少ないですしね」

「そういう事だ。何かあったら、俺は店の前にいるからな」

「はい、分かりました」






 働き終えた夜。


 私はいつも研究室にこもって、ある研究をする。


 それは疫病の研究だ。


 孤児だったころ、貧民街で大きな疫病が流行ったことがある。


 その時に、たくさんの知り合いがなくなってしまった。


 面倒をみてくれた、お姉さんやお兄さんたちも、多くがいなくなってしまった。


 私は、あの時ほど強烈に治癒師としての力がほしいと思ったことはない。


 だから、二度とあんな悔しい思いをしないようにしたかった。


 高名な研究者でもなんでもないため私のやっていることは、自己満足で終わる可能性が高い。


 それでも、やらずにはいられなかった。









 今日は忙しくない日だった。


 だから、ひたすら書類の整理を行っていた。


 そんな日は昔の事を思い出してしまう。


 名のある名家に才能のある治癒師として迎え入れられた私。


 名家アクアブール。


 私はその家に養子として入った。


 けれど、愛された事はない。


 私が迎え入れられた理由は、病気がちな実の娘の面倒を見る為だけの存在だった。


 私は娘として扱ってもらった事はなかった。


 本当の娘が体調を崩せば、それが早朝でも夜でも手当をさせられた。


 三日三晩体調の異変が崩れれば、その間眠らずに診ていろと言われたこともある。


 私は、私なりに精一杯やった。


 けれど、病は私の治癒の力ではなおせなかったから。


 私はその家を追い出された。


 他の腕の良い治癒の力を持つ子供と入れ替えるように。







 あの時の事を思い出すと腹が立つけれど、これで良かったのだと思っている。


 今は私の力が大勢の人の役に立っているのだから。







 健康診断を受けに来た人達が今日は多いな。


 新人を受け入れてから数日が経過。


 あれこれ教えながらの業務にも慣れてきた矢先だった。


 いつもより、患者さんが多いのが気にかかる。


「何か、街の中であったんでしょうか?」


 すると通りかかった医院長が頭をかきながら説明してきた。


「ああ、おそらくあれだろう。どっかの道路工事で爆発事故が起きたらしいんだが、その時に地底にあった有毒ガスが漏れだしたらしい」


 そういえば、昨日の新聞でそんなような事が記事にあった気がする。


「ガスの噴出はすぐ止まったらしいが、やっぱり不安なんだろうよ」

「そうだったんですね」

「計測器の数値は安全値だと、ちゃんと出てるんだが。こればっかりはしゃーないだろ」


 人の心は理屈ではない。


 人から大丈夫だと言われて、それで素直に信じられる人もいれば、信じられない人もいる。


 不安に思ってしまうのはしょうがないだろう。


 心の健康も仕事の一つ。


 そう割り切って、私は仕事に集中する事にした。


 しかし、


「呼び出しだ。どっかの貴族がお前の訪問診療を依頼してきたらしいぞ」


 医院長にそう言われて、対応に出た私は、数年前の事を思い出してしまう。


「無能な治癒師だったが、研鑽を積んで一人前になったようだな。なら、やるべき事は分かっているだろう」


 私の実家の使用人が、医院の玄関に立っていた。







 またここに来てしまった。


 私はもう二度と戻ってきたくない場所へ、足を踏み入れてしまっている。


 並みの貴族では建てられないような豪華な屋敷は、私にとっては呪いの場所でしかなかった。


 父も、母も、兄弟も、病弱な本当の娘も顔を出さなかった。


 家族とは誰とも会わず、とある部屋へと案内される。


 簡素な部屋。物の少ない部屋だ。


 でも参考書ばかりが置いてある。


 そんな部屋の隅。


 ベッドの上には、とある少女が眠っていた。


 私とは入れ替わりで、この家アクアブールの養子になった少女だ。


 腕のいい治癒師として、本当の娘を見ていたはずだがーー。


「患者さんですか?」

「そうだ」


 私をここに連れてきた人は、頷いて部屋を出ていった。


 診ろという事らしい。


 こちらの返事も聞かずにーー。


 だが、目の前に患者がいるなら、私に断る理由はない。


「失礼しますね」


 額に手をあてると、やはり。


 熱を感じる。


 顔が赤くて呼吸があらい。


 患者が治癒師を必要としているなら、今の私は、この家の元娘ではなく、医療従事者だ。


 私はすぐに診療道具をとりだして、患者の様子を診はじめた。


 ややあって、私は部屋の外に待機していた者につげる。


「シャクティオーゼス病です。シャクヤの森へ行かなければ、普通ならかからない病ですが、最近そちらへは?」

「一週間ほど前に訪問した。お嬢様はすぐれた治癒師なのでな。流行り病が蔓延していると聞いて、国のようせいを受け、力を貸しにいったのだ。おかげで病弱なお嬢様を見る人間を他にさがさねばならなくなって、苦労したが」


 そういえば、シャクヤの森に国の医師団が派遣されたと、聞いた事がある。


 十分すぎる数の治癒師が向かったはずだが、人手が足りなかったのだろうか。


 どうやら、貴族の娘も優れた力があれば、駆り出されていたらしい。


 私は目の前の患者の年齢を思い出す。


「治癒師養成学校には通っていらっしゃるんですよね。でもまだ卒業はされていない」


 私が家に追い出される時に、この患者が通わされるという話を聞いた事がある。が、年数を考えるとまだ在学中のはずだった。


「そうだ。現地で人手が足りなかくなったからな。優秀なものがいくつか連れていかれる事になった」

「病の基礎的な治癒を習うのは、入学してから間もない頃ーー。けれど感染力の強い流行り病に対する知識はーー」

「学んでいない。それでも」

「優秀ならば、対処できると? 甘いです。病をあまくみれば、全滅してしまう事だってありえるのに」

「ーー」


 憤りを覚えたが、こればかりは国の責任だ。


 彼等が意をとなえるわけにはいかなかったのだろう。


 ろくでもないこの家の人間たちに思うところはあるものの、この点だけは責められない。


「医院に運んで治療をほどこします。ここで寝かせていても、十分な治療はできません」

「落ちこぼれであるお前の元にあずけろと?」

「私のつとめている医院の力になりたくないのなら、最初から声をかけなければよかったのでは?」


 思わず言葉がとけどげしくなってしまうが。


 いまさら、低姿勢にもどるのも抵抗感がある。


 使用人は深々とため息をついて、「仕方あるまい」と呟いた。


 それはおそらく、了承の意味の言葉よね?







 患者はその日のうちに入院になった。


 必要な機材もそろえられて、隔離部屋で本格的な治療がおこなわれている。


 現地でないので、この病の感染力は格段におちるものの。


 他の患者と一緒にするわけにはいかない。


 しかし、落ちこぼれとして追い出した私の手をかりようだなんて、一体どういう風の吹き回しなのだろう。


「あの患者の家、悪い噂が絶えないみたいよ。貴族って腹黒いのね」

「さすがにあんなに自分より格の高い相手に噛みつくなんて。みんなよりつかなくなってるみたい」

「だからあの患者、他の治癒師が見てくれなくなってるのね」


 深夜。


 勤めている医院に泊まり込んで見回りをしていたら、休憩室からそんな話し声がきこえてきた。


 話題にされている家は、私の元の家。


 患者は、私の代わりにあの家に迎え入れられた養子についてだった。


「国の中でも五本指の中に入る名家中の名家の貴族にケンカうるなんて。短絡的すぎるわよ」

「貴族には憧れてたけど、あんな家には生まれたくないわね」

「本当そうだわ」


 なるほど、だから私のところにあの使用人はやってきたのだろう。


 本当の娘を診る治療師はなんとか探せたものの、優秀な養子を診るものは探せなかったから。


 元家族なら、多少なりとも情が残っているだろうとでも思ったのだろうか。


 私は別に情なんてもっていないのに。


 患者がいるから、治したいと思っただけでーー。


 ため息をつきながら、その話を聞かなかったふり。


 そのまま素通りして、病室をみまわっていった。


 すると、いつのまにか背後についてきていた医院長がはなしかけてきた。


「注意しなくていいのか?」

「そんな気分じゃないです」

「いつもはそういう事は口を酸っぱくして言うのに?」

「こっちにもいろいろと事情があるんですよ」

「そうかよ」


 意味もなく頭をこづかれて、少しむっとしてしまう。


 今はすこし、虫の居所が悪いのだ。


「例の新人、やめちまったな」

「そうですね。数時間前に辞表を書いてるところをみました」

「まあ、覚悟もなしに入ったひよっこ感まんまんだったからな」


 うつった話題は、この医院にやってきたばかりの新人のことだ。


 この仕事はかなりきついし、責任も重い。


 様々な勉強を経て、試験に受かったはいいものの、現実にやっていけなくなるものは少なくなかった。


「そういう意味で言えば、お前はまあまあマシな方だったな」

「意外です。最悪な出会い方だったのに」

「そりゃ、お前の優柔不断な判断は悪かったさ。でも一番肝心な気持ちは、誰よりも強いと感じていたからな」

「それは?」

「患者を治したい、助けたいという気持ちだ」

「ーー」

「ひよっこでも、未熟なやつでも、その気持ちが強くなくちゃやってけないからな」


 ひょっとして励まされてるのだろうか?


 家の事情について細かいことは話したことないけど、この人は人のことを良く見ているから。


 医院長の顔を見つめてみるが、夜の暗闇のせいでよく分からなかった。






 数週間後。


 例の患者は回復して、この医院から退院していった。


 また日常が戻って来た、と思ったのだがーー。


「シャクヤの森へ?」

「ああ、上から助っ人に行ってほしいと。俺とお前の二人分だ」

「どうして?」


 大変な状況にある場所へ、派遣されることになってしまった。


 こう言ってはなんだが、ここの医院は小さなところだ。


 国からじきじきに頼まれるようなところでは、断じてないのだが。


 どうしてだろう。


 いぶかしくおもっていると、医院長がため息交じりに説明してくる。


「最近なおした例の患者からの推薦だそうだ。ちっ」


 医院長が苦虫をかみつぶしたかのような顔で、舌打ち。


 ああ、あの。


 今頃どうしているだろうか、本当の娘をまた診ているのだろうか。


 さすがに一度倒れたので、シャクヤの森には再度派遣されることはなさそうだが。


 完全に回復していたとしても、あの家が大切な本当の娘の傍から、優秀な治癒師を離すとは思わない。


「恩を仇で返しやがって。家が家なら子も子だな」


 その言葉は私に跳ね返ってくるのだが、彼は私があの家の子供だとは知らないので仕方がない。


 とりあえず今分かっているのは。


「行くしかないですよね」


 逆らえないという事だけ。


「そうだな。準備をしておけ。出発は二日後だ」










 入念な準備をして、シャクヤの森へ向かった。


 国が選んだ優秀な治癒師が大勢いると聞いたが、状況は芳しくない。


 シャクティオーゼス病は、あいかわらず収束をみせていないようだった。


 私達は、現地に入り次第すぐに治療を始めた。


 けれど、やはりすぐに手一杯になってしまう。


 対処療法しかできないのが歯がゆい。


 治ったはしから、再度感染してしまうから、いつまでたっても終わらないのだ。


「感染力が強すぎる。幸い、抗体が聞いているからいいが」

「それでも私たちも、微熱がでているくらいですからね」


 どんな時でも疲れを見せなかった医院長が、やつれた顔をしているのはかなり驚いた。


 それから三日三晩、夜も眠らず患者を診続けたが、状況はまったく改善されない。


「一体どういうこと? さすがにおかしいわ」

「感染したら、自然に免疫ができてくるはずなんだが。一向に、次から次へと症状が変わっていく。くそっ」


 似たようなことが以前にもあった。


 記憶の中で何かが引っ掛かっていた。


 それは孤児だったころの記憶。


 たしかあの時も、そうだった。


 このまま貧民街の者たちが全滅してしまうかというとき、善意の治癒師がきてくれて、一人ひとり診てくれたのだが。


 その時に彼らが言っていたのだ。


「生き延びるために、まるで一日ごとに病が変わっているかのようだと」


 あの病はどうして、おさまっていったのだったか。


 それはーー。


「医院長、思いついたことがあります。試してみてもいいでしょうか」







 私の視線の前では、一人の患者がベッドの上で寝ていた。


 その患者は顔を赤くして、息も荒い。とても辛そうだった。


 早く何とかしてやりたいと思うが、焦ってはだめだ。


 私は通常ならやらないことをためした。


 患者がのみくだせないので、粉末や錠剤は用意できなかったが。


 注射ならーー。


 小さい針をさして、処置をしていく。


「ちくっとしますね。失礼します」


 すると、数時間経った頃には、患者の容体がかなり回復していた。


「やったな。これで多くの人間がたすかるぞ」


 その様を見た医院長が即座に情報共有するために、他の治癒師のもとに走っていった。


 まだまだこれからもあるが、私は少しだけ肩の荷がおりたようで、一息ついた。


 今回利用したのは、今猛威を振るっているシャクティオーゼス病の病の特性を利用したものだ。


 病にかかっているものに、治癒師の力をこめた物質を与えたのだ。


 治癒の力を、人から人に与えることはできても、物に込めることはこれまでできなかった。


 しかし、様々な研究の末、私はそれをあみだしたのだ。


 まだ実験段階だったが、効いてよかった。


 このまま何もしなければ、体力が尽きた患者から順番になくなってしまうのだから。







 数か月後。


 元の日常に戻った私たちは、医院の壁に勲章をかざりつけていた。


 多くの者たちを救った、名誉ある医師として、国から与えられたのだ。


 落ちこぼれだと家からおいだされた頃からは想像できないことだ。


 うれしくて、自然とほおがゆるんでしまう。


 それをみられていたのか、医院長にあたまをこづかれた。


「気ぃ、緩んでっとへましても知らねーぞ」

「しませんよ。ちゃんと切り替えますから」


 けれど相変わらずこの人は変わらない。


 初めてであったころから、ずっと頼もしい治癒師のままだ。


 あの時も、医院長が迅速に情報共有して、私が考えた治療法をわかりやすく他者に伝えてくれたことで、命の瀬戸際にあった者達が何人もたすかった。


 小さな医院の長として、何人もの治癒師の世話をしてきただけはある。

 私が同じことをやろうとしたら、まだきっと混乱してしまうだろう。


「ちゃんと自分がまだまだ足りないことは自覚してますから」

「そうかよ。じゃあ、がんばんな」


 また頭をこづかれるかと思ったら、軽くなでられて拍子抜け。


 この人にとっては、私なんてひよっこなのだろうけれど、少しは認めてくれているということだろうか。


 いつか目の前の人に追いつけたらいい。


 そして、与えられたこの力で多くの人を助ける。それが私の、なりたい将来だ。


 

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