【完結】婚約者は浮気中?噂を聞いた令嬢は自分も「恋は盲目」を経験したいと言ってみた

春風由実

令嬢は淑女として礼をする


 ただ今、予想していなかったことが起きていますの。


 うふふ。

 それでもわたくし、よく学んでまいりましたからね。

 驚いたお顔はひとつも見せないように出来ますのよ。



「聞きまして?またあの男爵家の娘を連れて歩いていたそうですわ」


「腕をお組みになっていたとか。わたくし、リリーシア様が心配で心配で」



 学園のテラスでひとりお茶をしていたところでしたの。


 親切な皆様が口々に教えてくださいました。


 わたくしから声を掛けてはいないのにです。

 いつの間にか同じ席にいらっしゃるから不思議ですわ。



「今日もこのようにおひとりでいらっしゃるなんて」


「このままではリリーシア様が不憫でなりませんわ」



 あらまぁ。口の端が歪んでおりましてよ。

 瞳からも愉悦が隠し切れておりませんわ。


 こうして貴族令嬢として、自身を見直すきっかけを得られたことはありがたいわね。



「ご忠告どうもありがとう」



 心を込めてお礼を伝えたわたくしは微笑みます。

 もちろんこの笑顔は、お礼だけの意味ではなくてよ。



 分かっておられるかしらね?




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る