宇宙
宮里 京
初めまして。
「こんにちは。エルです。初めまして。」
私はエル。本名は……さすがに内緒
今私は本名も知らない、顔も知らない人と話している。
「エルさんは何をされてる方ですか?」
この声は男性だな。しかも20~30代だと予想する。
「私は…社会人です。年齢は非公開で、、」
SNSは出会いを求める人で溢れている。ここは特に
「どんなことされてるんですか?」
「可愛いアイコンですね」
「可愛い声だ。きっと可愛い方なんですね!」
「なんだこの地獄は」怒涛の口説き文句に絶句するしかない。
「あ、あの。私、明日の朝早いんで、抜けます。ありがとうございました。」
友達に勧められて入れることにした音声通話アプリ、私には早すぎたな。
高校生の私はそんな事を考える。
「ただ趣味の話がしたいだけなのに…」
女性と分かれば口説いてくる男性ばかりの世界に呆れ返る。
「宇宙はこうも広いのに、何故この世界にはこんな人間しか集まらないのか。」
私の中でこのアプリの利用目的は「共通の趣味を持つ人と関わること。」特に読書好きな私にとって読書友達は絶対に持っておきたかった。「この本おすすめ!」読書好きのおすすめに間違いがないことを私は知っている。
「この世界に出会いを求めるのは間違ってるな」
そんな分かりきったことを考えながらアプリアイコンを長押しし、ゴミ箱へ移動させる。
「こんなアプリに依存してる人ってほんとに人間なのか?」そのようにさえ思う。
「それだけ確認してからにするか。」
私は気になれば知るまで落ち着かない性格だ。
「本当に削除してよろしいですか?」そう聞いてくるスマホ画面に浮かぶキャンセルの文字を押す。
現実世界では出会うことの出来ない。匿名の世界「宇宙」での様々な「宇宙人」との会話日記。
宇宙 宮里 京 @kyou_miya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。宇宙の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます