もうなんだっていい
カミトロニア
第1話 死んだ
あたたかい。
心地良い。
あぁ、俺いまめちゃくちゃ幸せだなぁ…。
死んだ。
あの日、何となく普段飲まないビール片手に近くの海岸へ行った。
普段飲まなかったために俺があんなに酒に弱いとは思わなかったけど。
酔った状態で海に入って溺れ死んだ、らしい。
そしてここは所謂死後の世界。
俺の目の前にいるこの老人が神様だというから驚きだ。
「つまり、俺はこれからどうなる?」
「其方は本来ここで命を落とす運命ではなかったからのぉ…。わしも、ちと困っておるのじゃ。……そうじゃ、せっかくなら別の世界で生きてみぬか」
「別の世界?それって異世界転生ってこと?」
「そうじゃな、何でも最近流行っておるそうじゃないか。この間別の死者に聞いたんじゃが、皆異世界で楽しそうにしておるらしい。其方も異世界で精一杯楽しんでみてはどうじゃ?」
「えー異世界って魔物とかいるんだろ?俺、痛いのとかグロいの嫌なんだけど…」
「では、それなりの強さを手に入れた状態で転生させてやろう。相当な魔物でない限り傷を負わすことなどできんくらいにな」
「そんなこともできるのか。さすが神様なだけあるな」
「ホッホッホ、わしは何でもできるぞ。神様じゃからな」
「して、転生するにあたって何か要望はあるかの?こちらの手違いで其方は死んでしまったからのぉ、少しばかりは優遇してやれるぞい」
「うーん…せっかくなら魔法使ってみたいな」
「それならエルフ族に転生して魔法の才があるようにしてやろう。外見や年齢はどうする?」
「特に希望はないからいい感じに頼む」
「うむ、ではそろそろじゃな」
体の周りに光が舞う。
ふわっと体が浮き、眩い光に目を瞑る。
「何かあったらわしを呼ぶんじゃ。わしはいつでも其方をみておるからの」
神様の言葉を最後に俺は意識を手放した。
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