第10話 信用とヒビ
「
話しかけてくれる友達がいる。
周囲からの視線を受けながら、クラスを出て中庭に出る。足取りを見るに、そこが彼女らがお昼スポットらしい。
ポーチを通過して、奥へ進む。
着いていくと、四角形に切り取られた大きな鉢に桜の木が一本植えられているのが見えた。三人は、迷うことなくそこへ近づき、
校内にこんなにも綺麗な場所があったのか、と思っていると
「ついこの前までは、六人で昼食ってたのになー」
弁当箱を開きつつ、
「まあ、美少女が一人新しく加入してくれたから俺としてはバンバンザイだけど」とさりげなく緩衝材を入れるあたりが、彼らしい。
またそんな
「えーっと、まず。
約二週間前、
「それから今に至るまで、メンバー同士が顔を合わせることが少なくなった。
入学してすぐにできたグループだけに、俺っち、ちょっと悲しかったなー。たった一人の告白で、簡単に人間関係がぎくしゃくするとは思わなかったもんー。
トークが夜遅くまで盛り上がって鳴り止まなかったメッセージアプリの通知音も、夏休みに何度も行った海の思い出も、それだけのことでなかったものにされるのは嫌じゃん? フツー。
だから俺はね、『またみんなと仲良くなりたいと思ってる』んだー」
それは彼のスタンスと取れた。
わざわざ女子側から聞き出すことがなくとも、彼は明け透けな態度で口を動かす。
それが空気を読んだうえでの行動なのか、それとも数手先を読んだうえでの理性的な行動なのか。
衣織は、どうして彼はこんなにも物分かりがいいのだろうと疑問に思う。
「
「うーん……、俺から見れば
「
「ああ、
まあ、あいつも基本は俺たちと一緒で仲良くやりたいらしいよ」
「そう……」
「で? 何か色々と俺のこと探ってるようだけど、これって意図とかあんの?」
あくまで笑みは崩さない。
「聞かれたから俺は全部正直に話すけど。
あくまで俺は、このまま『時間経過に任せていても友達関係が空中分解することはない』と思っている。
俺は、俺たちの関係が告白程度で壊れてしまうほど脆いものだとは思っていないし、だから今は
現状グループが気まずいままで放置しているのも、その理由」
「俺は、グループ全員のことを信じているからね」
「だから、ちょっと気になってはいたんだ。
名前を呼ばれ、
なおも
「女の子のことは、俺にはわからない。けど、肌で感じ取れる変化は確かにある。
男子と女子が離れつつある今、どうして君が女子からの信用を勝ち得てここにいるのか。ちょっと興味深くもあるんだよね。
……まあ、そこは俺個人の気になる点に過ぎないから、一旦置いておいてさ」
そこで打ち止めて、
「こうやって俺を呼び出して、わざわざ
これって、意図無しでやることじゃないでしょ。だとしたら性格が悪すぎるし、なにより友達を信用していない。
そう言って、
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