陽キャグループに入ることになった陰キャ女子、カースト上位の美少女たちを惚れさせまくる(※私も惚れちゃいそうなんですが……?)
安達可依
第1話 無自覚系パワー陰キャ
「……
成績優秀で運動神経抜群。容姿も良く、彼女らが所属している一学年というコミュニティでは五本の指に入るであろう美人。
(……クラスの端で静かに本を読んでいる私なんかが話しかけていいわけがない)
こんな所に人が寄りつくとは思っていなかったのだ。
……だから、クラスや学内で貼り付かせている「
そんな浅はかな自分が情けなく思えてきて、また涙がこぼれる。
ぼろぼろと流れ出す涙を見て、
その結果、彼女は——。
「わっ!?
……陰キャ特有の早口でもってどうにかが事態が収まるように努めた。
——今喋ってる私の声気持ち悪くないかな——私なんかが
一人脳内会議が長続きすれば、それはただの自虐でしかなくなる。
どうにか頑張って
あれ、私、もう死んでいいかな……。いいですよね……? ……ごめんなさいお母さん、私は自分が気持ち悪過ぎたという原罪ゆえに天に召されることとなりました。
ネガティブ思考の果てに、勝手に自爆。
なんかもう悲しくなってきて、泣き出す始末。たらーっと脂汗みたいに流れ出すしょうもない涙。涙さえしょうもなくてごめんなさい……。
結果、現状はカオスの一途を辿る。
もともと踊り場で静かに泣いていた
そこに、もう一人、急に心配そうに話しかけてきたと思ったら、あうあうとおよそ人間言語とは思えない謎コミュニケーションを試みだし、最終的に泣き出してしまった
昼休み。屋上すぐそばの踊り場。
目に涙を浮かべた少女が、二人。
それはなにか映画のワンシーンのようで、どことなーく絵面的にはエモい感じがするのだが……。
さめざめと泣いていた
ぐじゅり、ぐじゅり、ぐじゅり……。
それを見て、もうなんかいたたまれなくなってしまった、実に可哀想な
「いや、あたしよりドラマチックに泣くなよ……」
* * * * *
自分が泣き出した理由をまともに説明できず、
階段に、二人は段違いに座る。
……めそめそと床を見つめてばかりいる
「どうして泣いちゃったの?」
「……あ、え、っと、なんか色々混乱しちゃって頭のなかごちゃごちゃになっちゃって……あ、その、すみません全然意味わかんないですよねすみません」
「……確かに全然意味分からないけど。分かりたいからさ。もうちょっと噛み砕いて説明してくれない?」
「……あ、えっと、噛み砕いて説明……。
「いや長いって。もっと端的に話してほしいかな。……えっとそうだな、どうして頭のなかごちゃごちゃになっちゃったのかな? もしかして誰かと話すのが苦手なタイプなのかな?」
こくん、と頷く
先ほどの一幕でめちゃくそ泣いてたのに、今だって泣きそうである。
「それじゃあ……。喋るの苦手な人って、極度に緊張しやすい体質だとか幼少期から他人とのコミュニケーションで失敗した経験が多いっていうけど、
こくん、と頷く
「そうなると……。もしかして
ぶんぶん、と大きく首を縦に振る
「どうしてわかったの?」と驚いた表情。
「つまり
ぶるんぶるん、と大きく大きく頭を振るう
これだけのヒントで、よくも
一方、「ヒント」と一口に言っても、
「はい」とか「いいえ」とか「部分的には~」の選択肢がある分、この推理ゲームはア○ネーターよりもタチが悪い。
「
「え、え、何ですか……? いきなり寄ってきて……」
「うーん……目は大きくてぱっちりしてて、目鼻立ちは整ってるし……。『美人系』というよりは『可愛い系』の顔してるし、容姿が良いのにどうしてそんなにも自信がないんだろう……?」
「あ、あの
「冗談も通じないのか。そこまでは言ってないよ。ただ、容姿が良いだけ対人においてかなりのアドバンテージになるのは事実でしょ。それだけの武器があるのに、どうしてそんなにも自信なさそうにしてるのかなって」
それだけの武器があるのに。
そう言われて、
それだけの武器があるのに——それだけの武器があるのに——それだけの武器があるのに——……。
脳内で繰り返される褒め言葉に、
「……フヘッ」
「えっ」
「ヘッ、ヘヘヘ、ヘ、ヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ……」
なんだこれ。
しばらくして、
……こういうところなんだろうなあ、と。
他者の目を強く引いてしまう美しい容姿。しかし、惹きつけられて観察したところで、今度はドン引きしてしまいそうになる仕草や振る舞い。
「残念系美少女」という言葉がこの世には存在するが、まさしく
「フヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ」
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