第2話

「ね〜え~〜〜」


強引に目を合わせようとするが、僕のことなんて見えていないみたいにそそくさと歩き出してしまう。


一緒に大学に通っている彼女の家まで迎えに来たところだ。


喧嘩してからずっとこう。


でももう、何日も経つんですけど。

そろそろ話してくれても良くない?


たしかにあれは僕が悪かったと思うけど、

そろそろ言い分くらい聞いてくれてもいいじゃんか。


そう思いながら隣を歩く君の横顔を見る。


しっかり者で、無表情でいることが多い君だけど、たまに笑う顔が可愛くて、もっと笑ってもらうために頑張っちゃうんだよね。


それに喧嘩してても、隣を歩かせてくれるし。


っていうか、ちらっと顔見たときから気になってたんだけど、昨日泣いた?


目がちょっとだけ赤い。


我慢できなくて、肩を少しだけ擦る。

良かった。振り払われなくて。








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