好きな気持ちの定義

メイ

第1話

 突然だが、みんなには好きな人がいる?

 

 俺、日向陽にはいないと断言できる。正直に言おう、おれは普段から人を見下しながら生きている。


 例えば、クラスできゃっきゃうっふ言っている女ども、告白して、振られて、落ち込んでる惨めな男ども。


 なぜ振られるとわかっているのに告白するのだろうか?

 何故わざわざ、それを騒ぎ立てて物事を大きくしようとするのか?

 そもそも、好きな気持ちってなに?


 わからない、本当にわからない。人のそんな気持ちがもしかしたら俺には欠落しているのかもしれない。


 でも、時々、寂しい気持ちになる。


 人間が持っていて、当たり前のものをおれは持っていないのかもしれない。自分が不完全な、欠陥品以下の存在なのかもしれない。


 でも、時々思う。

 おれでも、その気持ちの定義を理解することができたなら、彼らと共有することができたなら。


 そういう場所をおれは心のどこかで求めているのかもしれない。


 これはおれが、自分の気持ちを知っていく人生という物語。

 



 




 


 

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