城研~城山高校城郭研究会の日常~
青さん
第1話 曲がりくねった坂の先に
僕の名前は、堀祥司。この春から県立城山高校に通う高校1年生。そこら辺にいそうな、普通の男の子だ。
先日入学式を終え、今日はいよいよ始業式。高校は同じ市内にあるが、自転車で通うには少し距離があるので電車通学だ。
定刻通りにホームに滑り込んできた4両編成の電車は、同じ高校の制服を着た学生の姿もチラホラ目に入る。
電車で2駅、高校の最寄り駅に着くと、対向の電車も同じ時刻に到着し、駅のホームは学生と通勤する大人でごった返す。
ややあって改札を抜けて、少しばかり線路沿いに戻る。踏切を渡ると、そこからだらだらと上り坂が続く。
途中で正面と右手に石の壁が現れて、右に折れたと思ったらすぐ左に折れる。なんて見通しが悪いんだろう。
クランクを抜けると左手に校舎、右手に深い池を見ながら坂を登りきると、ようやく高校の正門に辿り着く。自転車通学の人は大変だな、と思いつつも自身も軽く息が上がる。大勢の生徒たちと共に正門を通り、高校の敷地内へ。
さぁ、ここからいよいよ僕の高校生活が始まる。
期待と不安を胸に抱き、教室へと向かう。
教室へ入ると、多くの生徒…いや同級生が友達とわいわい喋ったり騒いだりしてる。
僕と同じ中学の子とかも見受けられたが、それほど仲も良くないので(僕はどちらかというとぼっち属性)、早々に自分の席に座る。
視線を感じて、ふと隣の席に座る子を見る。おとなしい感じの女の子だが、左目を髪で隠して少しミステリアスな感じがする。まぁ「隣に誰かが来たな」くらいのやつだろう。僕は然程気にせず教科書や資料に目を通す。
そしてチャイムが鳴り、担任と思われる先生が入ってきてホームルームが始まり、続いて体育館で始業式が始まる。
式の後は教室へ戻り、あれこれと説明を受けたら、今日はこれで終わり。
リュックを背負って帰路に就こうと校舎を出ると、そこには部活勧誘の先輩方が左右に所狭しと並び、熱心に声を掛けている。
僕は端から帰宅部所望なので、適当にあしらいつつ正門へ向かおう…と思ったら、門の脇で怪しい動きをしている人を見つける。
そして、その怪しい人…女性の先輩から声を掛けられた。
「あ、そこの君、ヒマなら少し手伝ってくれる?」
…これが僕の高校生活を良くも悪くも狂わせた出会いだった。
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