第5話

医師に見てもらうと、

フール草の中毒です。大量のフール草の花粉が、カノン様の体の中に入っています。もしかすると蜜も飲んでるかもしれません。

まだ今は呼吸をしていますが、、、この先どうなるかわかりません。

接種量と時間は?



「時間は、わかりませんが、部屋には、花がたくさんありました。

ここから見える庭の分全ての花が、部屋にありました。」



「自殺ですか?」


「多分、、」


「なぜ?皇太子妃様はいつも、笑顔で幸せそうでしたが、、違ったのですか?」


「、、、、」


「皇太子、カノン様は、幼い頃から公爵に虐待されていました。

完璧でなければ、叩かれていました。

カノン様、ずっと教会に行き、懺悔をしていました。

普通の女の子になりたい。幸せになりたいと言っておりました。

公爵の立場でいる以上、難しいことはありましたから、私どもなんともできませんでした。

ある日、突然笑顔になり吹っ切れたようでした。

理由を聞くと、皇太子様の婚約者になれるかもしれないから頑張ることにしたと、、

やっと幸せになれると思っていましたのに、、何があったのですか?」


そこへ、、プリンス様がやってきた。


「プリンス様がなぜここに?」


「、、、、」



「腕の傷大丈夫ですか?

もう料理は自分でしないでください。」


プリンスはその場をさって行った。





「どうゆうことですか?」


「え?」


「プリンスは、虐待されていないのか?」


「虐待?そんなわけないでしょ。あの家族は仲が良い。みんなで食事もしていた。あの子は、自分で、火傷をさせたんですよ。

あの傷を見るとみんながかわいそうだと言ってくれるから、それが嬉しいと言っていた。

最近、顔を見なかったから、落ち着いたのかと思っていました。

皇太子様のところでお世話になっていたのですか?、、、まさか、、」


「ああ。俺の大切な人だ。」


「そうですか、、カノン様は、その事実を知っているのですね?

この部屋は使っていませんよね?」


「ああ。別棟にいた。」


「そこで、フール草を使って自殺したと言うことですか。

なら、このまま死なせてやれば良かったのに、残酷なことをするのですね。

皇太子は。」


「人が死ぬのに、、助けるのは当たり前だ。」



「カノン様は、本当に辛い人生でしたよ。

でも、死ぬと言うことを絶対に言わなかった。

毎日たくましく生きていた。

そのお方が、死を選んだことは、もう生きるつもりがないのでしょう。

もう頑張れないのでしょう。

死ぬことでやっと解放されるのに、まだ生かせるのですか?」


「医師として言ってはいけない言葉ではないか?」


「カノン様を知っている者からしたら、生きて欲しいとはいえない。

カノン様が、自ら死を選んだのですから、、」


「これからどうするつもりですか?

治療しますか?

正直、今までのように生きれないと思いますよ。

もう一度、元いた場所に戻してきたらどうですか?

その方がカノン様は幸せなのではありませんか?」


「そんなこと、、、」


「一つ言いますけど、このまま亡くなれば、病死で死ねますよ。

でも、ベットに寝たままになれば、公爵は、カノン様を罵倒しますよ。 

意識がなくても関係なく罵倒しますよ。それなら死なせてあげたらよかったのに。

もちろん、死んでも、生きていても、罵倒するには違いありません。


前兆はなかったのですが?


「一年前くらいに、一年後に死ぬと言われたが、冗談かと、、、」


「そうですか。殺しますか?生かせますか?」


「死なせてくれ、」


「わかりました。では、私がこのままカノン様の遺体の処理をしますね。」


「ああ。頼む。」


「では、部下に、病院に運んでもらうようにしてください。」


「ああ。最後に背中だけ見てください。本当に虐待していたか?疑ってるでしょ?」


ドレスは背中のあいたドレスだった。

最後は、自分の好きなものを着たかったらしい。



「え?、、、」


プリンスの傷なんて比じゃなかった。


「これ、、、」


「そうですよ。プリンス様の傷は自分でつけたものですから、酷くないですよ。カノン様は、他人が、憎しみを込めてした者ですからね。

ひどいと思います。

笑顔で過ごせるのはすごいことですよ。とてもきつかったと思います。

笑顔で過ごすなんて出来ないくらいの痛みだったと思います。」



俺はなんてことをしたんだ、、、

部下が1通の手紙を持ってきた。


「カノン様の部屋にありました、」



「ああ。ありがとう」



皇太子殿下。

プリンス様の指導は終わりました。わたしが教えることもうないと思います。

プリンス様なら、皇太子殿下を、支えることもできますし、愛する二人として、国の皆様が喜びます。

プリンス様とは末永くお幸せにお暮らしください。


最後に一つ、

私は、あの初夜の日に、子供を授かりました。

プリンス様を紹介された日に、出血しました。

医師に見せたところ、流産だったそうです。

私は、愛する人の子を死なせてしまいました。

わたしが子供の頃から願っていたことさえ、実現できなかったのです。

私は生きていてはいけないのです。


公爵には、

子供を授かったが、流産してしまい、出血で、死んだことにしてください。

公務に出る時は、お腹を隠す服を着ていたので、大丈夫です。


これなら、あなたが公爵に責められることもないですわ。

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