第121話 距離

「どんな事をしてしまったのか覚えていますか?」



「そうだな…確か会社の情報を漏洩したはずだ。すぐに対処をしたからなんとかなったが、対処するのが少しでも遅れていればあの時点で私の会社は無くなっていたさ。」



そういった黒瀬の父親は少し昔の事を思い出すようにして、物思いにふける顔をしていた。



「ちなみに会社…どうするんですか?」



「どうするも何も…基本的にはもうおしまいだよ。再建することも考えたけど、それにかかる費用と今後得られる利益を考慮すれば、普通に考えて再建するということはないね。まぁニュースで私の実名が割れてしまっている以上、他に会社を作ったとしてもその件を蒸し返されて終わりだろうさ。」



「…そうですね。確かにこうなってしまった以上、そうなってしまいますよね。」



俺は黒瀬の父親の事を見ながら、そう答えた。



「だが、私もこのまま終わる訳にはいかない。しっかりと私の会社がブラック企業でないということを公言しなくてはいけないんだ。」



「…第三者が調査してブラックだと判断されたらどうするんです?その時は潔く諦めるんですか?」



「どうせ、第三者が介入してくるのは目に見えているからな。そうなれば全てのものが勝手に持っていかれるし困る。だがそれを止める手段は私にはない。諦めるしか無いんだよ。」



黒瀬の父親はそう言うといきなり立ち上がり、部屋の外へと向かった。



「急にどうしたんですか?立ち上がって部屋の外に行くなんて…」



「君はもう帰った方がいい。いつもの時間だ。」



黒瀬の父親が言ういつもの時間とは一体何なんだろうか?俺には想像もつかなかったため、そのままで居ることにした。



「どうした?さっさと帰った方がいい。マスコミ共がここからずっと深夜くらいまでつきまとうんだぞ?それにこの家の中から出てきたとなれば、話を聞こうとわんさか君の家にも押し寄せるはずだ。そうなれば申し訳なくて仕方ない。」



「構いませんよ。それよりも俺としては、抱えている問題を早急に解決したかったんです。」



俺はそう言うと、黒瀬の父親に1つの紙束を渡した。



「これは?」



「貴方の息子さんにずっとイジメられてきたので、そのイジメの記録を作ってみたんです。」



俺がそう言うと、どこか納得した様子で黒瀬の父親はその紙束を受け取った。



「何処かで君の名前を聞いたことがあると思ったが、これだったんだな。」



そう言うと黒瀬の父親は、俺に向かって頭を下げてきた。



「…今まで息子がすまなかった。言い訳にしかならないけど、あいつのためだ。聞いてくれないか?」



俺は内心、眼の前の人物が何を考えているのか分からずどうすれば良いか悩んでいた。



「分かりました。取り敢えず話だけは聞きます。」



「ありがとう。それじゃあ言わせてくれ。まず私の息子があんなふうなことをしてしまったのは、私に多くの責任がある。私が全ての責任を取るから、アイツのことを許せてやって欲しい。」



「責任を…貴方がとるんですか?」



「あぁそうだ。父親である以上、息子がしてしまった事の責任を取らなければいけないってことだ。私があいつの責任を取る。」



「…そうですか。」



俺はこの男がどんな事を考えているのか分からなかった。だが、確実に言えることが有る。この男は危険だ。これ以上長く関わっていると、こちらに何を仕掛けてくるかわからない。すぐにこの男から距離を置くべきだ。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※リメイクverの作品を投稿しました‼

こちらのリンクから飛べるので是非見ていってくださいね‼

https://kakuyomu.jp/works/16817330668061640796



お陰様で恋愛週間ランキング最高2位に載りました!!これも皆様の応援のおかげです!!


今日も見てくれてありがとうございます!!

小説のフォローや星での評価をしていただけると幸いです(^^)


当分は深夜に投稿することになると思います…


若干時間無い中書いたので、文章がおかしいところがあるかもしれませんが気にせず読んでいただけると幸いです


ジャンル区分があってるかどうかの指摘とかは随時受け付けます!!色々と修正をしながら、色んな意見を取り入れて作品を完成させたいなと思っています!!


リメイク計画も実行中ですので、よければ是非〜



10~




新規小説です‼よかったら見ていってくださいね‼

https://kakuyomu.jp/works/16817330668848444155/episodes/16817330668861468769





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る