第2話 街へ
まずは街に出てみよう、目的は3つ
・この世界の人間との交流
・このダッサイ服装をなんとかする
・食料品の調達
この世界の人間との交流は街の雰囲気を見て考えるとして、他のふたつは最優先だ
飯は食わないと死んでしまうし、この服装で異世界ライフは盛り上がらない
幸い、家を出て右方向には街らしきものが見えるので、徒歩でもいけそうだ
街と反対方向の道の奥には鬱蒼とした森林があるのが見える、恐らく魔物が出現するフィールドかダンジョンの類いだろう
街での目的を果たしたあと森林にも行ってみよう、情報収集も大事だが、自分の戦闘力がどれ程の物なのかも把握しておかないと、この先の立ち回りをシミュレーション出来ないからな
森林に背を向けて街へと続く道を歩き出した
《ルギド王国に次ぐ大都市ハラシア》
街に到着
ヨーロッパの街を思わせる、西洋風な街並み
多くの人が徘徊していて、遠目には分からなかったが、結構栄えてる街のようだ
(とりあえず腹ごしらえからするか)
最初の行先は、この空腹を満たす食事処から
これだけ栄えている街なのだから、食事処も多いはずだ
少し歩いていると、フォークとナイフがクロスした看板に【アルバニア食堂】と書かれた店が見え、中を覗くとお客さんが2,3人程いる
雰囲気も良いし、他のお客さんもいるから入りやすそうだ
店先にあるメニューを確認すると、転生前の世界で見慣れたメニューばかり
(オムライスにハンバーグ、親子丼にチャーハン?すごいラインナップだな笑)
メニューも聞き馴染みがあるものばかりなので、この店に決める
転生して初めての交流…
(ただ店に入るだけなのにめっちゃ緊張する)
勇気を振り絞って店の扉を開ける
ドアに付けられた鈴がカランカランと鳴り、店に俺の入店をお知らせした
「へいらっしゃい!」
と店主らしき人の元気な声
「す、すみません、1人でふ」
噛んだぁぁあ
あれだけ異世界転生シュミレーションしてたくせに出鼻くじかれたぁあ
「プッあ、あいよ!カウンター席にどうぞ!」
そしてやっぱりバレたぁぁあ
ちょっと笑ってるし!
恥ずかしさでどうにかなりそうな気持ちを抑えてカウンター席に座った
しっかりしろ俺の脳内異世界転生シュミレーター……
食堂に入店するミッションすらままならず、頭を抱えてる俺に向かってくる1人の少女
「お水をどうぞ!」
10歳くらいの、目はくりっとして髪を三つ編みにした女の子が、お盆に乗せたお水を俺の前に置いてくれた
「ありがとうございます」
「ご注文はお決まりですか!」
元気いっぱいに聞いてくれる
うん、可愛い
「では、このオムライスをお願いします」
「オムライスですね!他にご注文はございますか?」
「大丈夫です」
「かしこまりました!少々お待ちください!」
いやぁあんなに小さい子なのにしっかりしてるなぁ
それに比べて俺は入店すらままならんとは…
穴があったら入りたい…
カウンターの目の前で作るスタイルのお店なので、俺の注文は店主にも聞こえているはずだが、三つ編みの少女は元気いっぱいにオーダーを通す
うん、可愛い
断っておくがロリコンなどではないからな??
ただ純粋な気持ちで可愛いと思っているだけだからな??
などと脳内で言い訳をかましていると、注文したオムライスが三つ編み少女によって運ばれてきた
「どうぞ!」
「ありがとうございます!」
「お絵描きさせてもらってもいいですか??」
ん?お絵描き?なにそれ?
「兄ちゃん!悪いんだがその子にケチャップでお絵描きさせてやってくんねぇか?うちの娘でミイって言うんだが、オムライスにお絵描きするのが好きなんだよ」
あーなるほどオムライスにお絵描きってことか
メイド喫茶かここは
「俺は構いませんよ」
「ありがとな!」
三つ編み少女のミイちゃんは嬉しそうにケチャップを持って
「何か描いて欲しいものはありますか?」
と穢れのない笑顔で聞いてくる
せっかくだしメイド喫茶っぽいやつ描いてもらうかな
「じゃあハートでお願いします」
「はーい!」
ミイちゃんは快く引き受けてくれた
「キモッ」
「おいぃぃぃぃ!お客さんに絶対言っちゃダメだよね??そんなこと!!」
ボソッととんでもないこと言いやがるなこのおっさん
「いやぁ、よりによってハートかよって思っちまって笑」
「笑じゃないよ!思ってても言わないでよ!!」
ガハハと豪快に笑うおっさん
「悪い悪い笑あんた面白いな笑」
「誰のせいでこんなこと言ってると思ってんですか…」
「出来ました!」
おっさんと小競り合いをしていると、ミイちゃんのお絵描きが完成したようだ
「ん〜どれどれ〜?……いや、うんまあああぁぁ!」
え?オムライスの上にケチャップで芸術って描けるものだったの??
ラッセンかと思ったわ!!
「ホントですか!嬉しい!」
〜AngelSmile〜
くはっ、可愛いすぎる……
何だこの可愛さ……
さっきのおっさんの失礼な言動が見事にかき消されていく……
「絵が上手なんですねミイちゃんは」
「だろ?さすがウチの娘よ!ガハハ」
娘を褒められたオッサンは上機嫌だ
俺の横でわぁーいと飛んで喜ぶミイちゃん
天使やん……
「ところであんた、あんまり見ない格好だな?この辺には最近来たのか?」
「え、あぁ、そんな感じですかね、最近来ました」
取扱説明書にも最近越してきた事になっているとあったが、いざ答えると違和感だな…
「そうかいそうかい!俺はこの店の店主のガッツっていうんだ!よろしくな!」
「よろしくお願いします、俺はユーキって言います」
おう!と元気に答えてくれるガッツさん
初対面で失礼なボケをかましてくるが、ただ単純にフレンドリーなんだろうな
「ミイはミイって言います!よろしくお願いします!」
ミイちゃんもガッツさんにならって挨拶をしてくれた
うん、可愛い
常連になろう←
とまあ冗談は4分の1置いといて、せっかくだし情報収集してみるか
その後、ガッツさんからこの街のことや、服や装備を扱っているお店のことを教えてもらった
食事を終えた俺はガッツさんとミイちゃんに別れを告げ、服と装備を扱うお店へ向かった
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