エウロパの片隅の小さな小さな恋。そこそこ令嬢のそこそこ日記外伝
七星剣 蓮
第1話 全ての始まり
《ナレーションは低い男性の声で》
現在の太陽系には知的生命体が生存できる天体が二つあると考えられている。
一つは太陽系第三惑星Earthである。
そしていまひとつは太陽系第五惑星木星の衛星Europaである。
※最新研究では火星には知的生命体はいないと考えられている。
そしておよそ100万年前、エウロパの片隅で野獣から亜人に進化したばかりの人類の国が生まれた。
穏やかな気候と豊富な水資源に恵まれたその国には豊かな花が咲き誇り、いつしかフローラル国と呼ばれるようになっていた。
ただ、まだ弱肉強食の野生の習性が抜けきれていない人物によって引き起こされる捕食を目的とする殺人事件が頻発し、自警団から始まった組織は長年の試行錯誤によって法による支配、つまり法治国家が樹立され、フローラル国は12の連邦国家として発達していったのである。
フローラル連邦国の誕生である。
フローラル連邦国のほぼ中心には豊富な水資源を支えるヘブンズドラゴン川と呼ばれる大河が流れている。
ヘブンズドラゴン川は豊かな農作物を育み、フローラル連邦国では飢えるものはなくなり平和な世界を築いていた、
ただ、昔の弱肉強食の被害を恨みに思う人種も存在する。
その昔、鷹や鷲に餌にされていた野鼠人は鷹から進化した鷹人を生理的に嫌い、目の敵にしていた。
ヘブンズドラゴン川の西岸にある1月王国から7月王国の7カ国は「
この反目が長い年月ののち解消されるのか、破滅的な結果を招くのか誰にもわからなかった。
****
そんなある日、ドワーフの夫婦に玉のような男の子が誕生する。
我が主人公、グエン・バン・ドエトフリッツ・カールトンである。
グエンは親譲り、子供の頃から物作り一筋のオタククラフツマンであった。
そんなオタクのグエンには近所の幼馴染、天体観測オタクのサルバドール・ネクサスという友人がいた。
好きな物は全く異なっていたがお互いオタクとして尊敬しあい、工作を一緒にやったり森や郊外を探検して天体観測を行ったり、親友と言っても差し支えないほどの仲良しになっていった。
「オレたちって親友だよな。」
「ああ、グエン、俺たちは死ぬまで親友だ。」
「約束だぜ!サルル。」
二人はがっちりと右腕を組み、ニヤッと笑う。
その約束が永遠であることを信じて疑わなかった。
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