闇落ち寸前の召喚士はモフモフに癒される。

るいす

第1話 追放

俺の名前はアキヨシ。孤児だが何の因果か召喚士の職につけたラッキーボーイだ。


召喚士は、魔物や動物といった生物を召喚することのできる職業だ。召喚には相性があり、またその場で召喚できる生物にはランダムに選ばれる。しかし、ドラゴンなども召喚することができ、もし召喚することができれば一騎当千の力を得ることができる。


この世界では魔物がはびこっており力こそが全てだ。


昔は勇者召喚なんかで魔王討伐と名うって隣の国に進軍したり、周囲の魔物を駆逐したりしていた。


しかし、勇者も人間である。老いもすれば体力が尽きて魔物に敗北することもある。


しかも、勇者召喚には膨大な贄が必要で何度も行うことはできない。贄とは人間を意味しており、魔力と言ったファンタジー物質ではない。


そんな勇者と肩を並べて優秀とされているのが召喚士だ。しかし、召喚士にも当たりはずれが存在する。ドラゴンを召喚できれば一騎当千と言ったが、ドラゴンも生物である以上、食事や最悪の場合は反抗することがある。


召喚されたのがゴブリンなんかの他の職業でも倒すことのできる魔物であれば反抗されても抑えることができる。しかし、そうでない魔物の場合は契約を結ぶことが主である。


契約は召喚士によりさまざまであるので一概にこれとは言えないが大なり小なり契約は必要となる。


ここまで召喚士について長々と話してきたが俺ことアキヨシは当たり職業でえある召喚士であり、その中でも外れである。


召喚できるのはなぜかゴブリンばかり、しかもこの世界では青年となると魔物討伐に一定期間、従事しなければならない決まりがある。


では、召喚士以外の職業の人間はどうしているのかというとパーティーを組んで、魔物と戦っている。


俺も、ゴブリンだけでは魔物討伐なんて危険を冒すことができないため、パーティーを組んで魔物討伐を行っている。


そうしてなんとか毎日、数匹の魔物を討伐していた。しかし、その日はパーティーの皆の様子がどことなくおかしかった。


そう感じながらもその日の魔物討伐を終え、宿舎へ帰ると一人の軽装の男が立っていた。


なんだか不気味に感じていると、リーダーが俺に声をかけてきた。


「アキヨシ。あの人は新しい斥候役の人だ。お前が召喚するゴブリンよりも索敵がうまくて、もちろん戦闘もこなせる。つまりなアキヨシ。このパーティーから出て行ってくれないか?」


いきなりの追放宣言に俺は他のメンバーの顔を見る。がだれも目を合わせて等くれない。


パーティーの人数に上限などないのだが、人数が増えれば当然分け前は減る。


そんな中で俺は召喚士としてゴブリンしか召喚できていないがそのゴブリンの食料も調達しなければならない。


ゴブリンは悪食で有名なため、今まで狩った魔物の素材の一部を与えていたのだが、どうやら俺のいたパーティーはそれすらも惜しくなってしまったようだ。


俺が呆然と立ち尽くしていると、軽装の男がこちらへ歩いてきた。そして俺の腹へ一撃パンチを繰り出した。


俺は胃液をぶちまけてしまい、その場へ倒れこむ。


そして、目覚めた時にはパーティーのメンバーは誰一人として残ってはいなかった。




新作です。【念動力】の方はストックが少しできたため思いついたものをマイペースに投稿したいと思います。他の作品を楽しみにしている方には申し訳ないですがよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る