鬼畜ゲーにモブTS転生してしまった~ヤンデレ主人公に好かれてしまった模様~
最近、無能ナナに、ハマっているもそ
第1話
とある捕食者は、私の額を軟体動物が蠢くかのように舌で舐める。
「あなた、嘘をついているようね。こんなに優しくて暖かい嘘をつけるなんて極上の女。
私とずっと一緒に居なさい」
ネオンのような艶めかしい光を出して捕食者は語る。
私は逃げ切れないと弱者の私は察している。
どうしてこうなってこうなったか、過去を振り返ってしまう。
死よりも恐怖を感じると、走馬灯は見えてしまうのか。
――――――
今日、能力者バトル系ベリーハードの『invader border~私たちは生まれた理由をもとめて~』(通称、インボ)の発売日。ゲームの世界観としては、2050年くらいのやや未来の日本で科学技術はやや発達している世界である。
あらすじとしては、特殊能力をもった女の子が宇宙から攻めてくる異星人や生物を倒して地球を守る話。中二病いっぱいの作品のように見えるが、それは罠だ。このゲーム会社は胸糞ストーリーをたくさん入れてくるため、通しかこのゲームを買わないと思われる。PVも肝心なところは隠しているようだった。
ゲームをいそいそと買って、家へと向かっている。
その時の俺はゲームの事ばかり考えており、周りが見えていなかった。
気がつくとトラックに引かれていた。
激痛が強すぎると痛みというものは意外と軽いものであり、これが死ぬことかとなんとなく悟りを開いてしまっている。
異世界転生へのテンプレでも、起きないかなと意識は遠くへ運ばれてしまう。
――――――
「お姉ちゃん……」
声がどことなく聞こえてくる。
天国についてしまったのだろうかと勘違いして、目を覚ます。
ピンクのベッドやタンスが並んでおり、女の子の可愛らしい部屋に飛ばされているようだった。壁にモニターがうまっていたり、見られない電気機器があったりと現代の技術より発達しているようだった。
目の前には小学生ぐらいの少女が俺を見つめていた。
「わぁ~~!!」
『トラックに敷かれてしまって死んだ』と思っていた俺は驚いてしまっている。
「どうしたの?お姉ちゃん。ここは家だよ」
少女は心配そうに俺に声をかけてくる。
『どうやら転生してしまっているのか』
転生物をある程度読んでいた俺は、この場の状況を理解してしまった。
『お姉ちゃんって、まさか。』
俺は体をなめ回すように触わり、自分の性別を確認する。
胸は小さいが膨らみがあり、何よりもとある場所(男の大切な場所)がないのだ。
つまり、私は女に転生してしまっている。
『私の情報が欲しい。いきなりの転生でわからないことだらけだ』
情報を得るために、周囲の環境を再び確認する。
私はベッドに寝ており、少女は起こしているようだった。
「え~~と。寝坊してしまったのかな」
「お姉ちゃん。やっぱりさ、やめた方がいいよ。体が持たないじゃん」
『確かに体がボロボロだ。かなりきつい生活を送ってきたのだろうか』
自分の体の傷や疲労感に気付かされている。しかし、こうなっている原因が分からない私は探ることをやめなかった。
「私はやるよ!!」
やめさたい内容を知りたいため、決意を大声で話した。
私は実の妹と思われる人間に、探りを入れてしまっている。
「お姉ちゃんはやっぱりすごいな。私たち、3人の妹のためにフォースの入団テストの修行とバイトを頑張ってくれるなんて」
『フォースって、転生先はインボの世界かよ』
フォースとは、15~30歳の女性能力者を集めた宇宙人と戦う軍隊。ゲームもここの入団テストから開始となる。
インボで3人の妹を持っているキャラクターは、早乙女りん。PVに少し映っていたモブキャラであり、妹が3人いるだけの情報しか知らないのだ。
「ありがとう。少し休みたいからさ。一人にしてくれると助かるな」
「わかった」
妹はこの部屋から立ち去り、部屋には私一人になったことを確認した。
その瞬間、スマホ起動してアプリ『ホルダーコントロール』を起動した。
ホルダーコントロールは、能力者(ホルダー)が自分の能力・家族構成などの個人情報・その日の行動をまとめた日誌を政府に情報を送り、管理するためのアプリである。
『インボの世界であれば、スマホの監視アプリでなんとかなるだろう。本来はこんな使い方はしていないのだが』
日誌に修行場所が書かれていたため、アプリのGPSを見ながら修行場所へと向かう。
目的としては修行というよりかは、自分の能力を確認するためだ。せっかく、能力バトルものの世界に転生したからには、能力を使いたいのは当然だろう。
この世界を楽しみたいため、能力のページは見ていない。
――――――
監視アプリによる河川敷の裏にたどり着き、辺りに誰もいなかった。
『よっしゃー!!能力を探ってみるか』
ワクワクしている私はアプリのホルダー詳細(能力詳細)の欄をクリックしてしまった。
ホルダー:ヨーヨー 念じるだけで10本の指先を巨大なヨーヨーに変形させてしまう。
代償:指パッチン1回につき、ヨーヨーの発動時間は1分チャージされる。
発動時間:800分
『手をヨーヨー化してみますかね』
ただ念じてしまうだけで、5本の指がヨーヨー化してしまっている。
指を曲げるくらい簡単にヨーヨー化してしまっている。
『なるほど。丁度目の前に空き缶あるし。空き缶にヨーヨーぶつけようか』
人差し指のヨーヨーをビューンと音を立てながら伸ばしており、速度は時速90~100kmぐらいでバッティングセンターでいつも打つくらいの球の速さ。
カァ―ンと軽い音を立てており、威力の弱さがすぐに分かってしまった。
空き缶は少し変形しているくらいで、異能力では最弱コース。
『威力が弱い。確かに代償がかるすぎるけどさ。弱すぎるでしょう。速度は結構出ているぞ』
ヨーヨーの本体を触ってみるとかなり軽く、重さとしてはゴルフボールくらい。
『こんだけ軽かったら、威力はそんなに出ない物か……』
期待していた分私はショックを受けてしまっていた。
そりゃ、モブだからしょうがないかと諦めてしまいそう。
『能力バトル物で、能力を研究しないとね』
ノートに他人の能力をまとめている某主人公の発言を思い出しながら、前向けになろうとしている。
手指のヨーヨーを出して何度も何度も動かしてみる。
何度もやっても結果は先ほどと変わらず、ヨーヨーの威力は変わらない。
何度も何度も攻撃しても変わらない。
『やはり、攻撃は弱いのか……』
頭を掻いてしまっており、頭を抱えてしまっている。
疲れてしまって少し休憩して、アプリのホルダー詳細を起動している。
自分の能力発動時間を計算しなおした。
『50分か。よっし。750分と入力するか。
それにしても、1時間近くしているのに糸がよれよれにならないな』
私はヨーヨーの糸を確認してみると。
鋼鉄のように固く、鞭のようにしなやかであった。
素材としては一等品の糸。
『この能力って、そもそもの考え方が違うのか。面白い』
糸を触れている私は唇の口角を上がっており、心の中はワクワクしている。
そう、伸びしろを感じてしまっている。
伸びしろを感じてしまった私は止まることはなく、ひたすら指を動かし続けていた。
まるでおもちゃを遊ぶように動かしており、時間が経ってしまっている。
気がつけば2時間たっており、辺りは暗くなっていた。
『もう、こんな時間か。でも、私の能力の使い方がなんとなく分かった。課題が分かった分、訓練も頑張っていかないとな』
訓練へのモチベーションの高い私は胸が少し踊っており、気分が良い。
私は能力バトルものを読むときは、無双するより能力の使い方が独創的な物を好む。
能力バトルは、やはり能力の考察が一番面白い。
真っ二つになっている鉄パイプを見て、今の私にとって鉄パイプは縛って切れてしまう棒きれのようなものになってしまったと実感する。
――――――
早乙女りんに転生して1週間ほどが経ち、自分の状況を理解できてしまっている。
私は、インベーダー(宇宙からの侵略者)の襲撃により両親は亡くなってしまったようだ。
私含めて4人の子供(3人が小学生)を残しており、補助金や貯金などを崩して生活をしている。貯金の底が見え始めているため、高校生である私がバイトをしている。
フォースの正隊員の受験をしているのは、それが補助金を受ける条件となってしまっているからだ。
要するに、妹達のために頑張るお姉さんというわけだ。
長女が一番頑張らないとどこかの漫画キャラが話していたので、それに従っている。
高校とバイトと修行の生活で体がパンクしそうになっても私こそがお姉さん。
生きている目的として、妹たちを支えていることである。
それこそが今の私だ。
――――――
朝の新聞配達のバイト後、いつものように朝食を取ろうと食卓へ向かう。
妹たちが準備をしてくれて、食卓は騒がしかった。
小学生に準備してくれる妹たちは正直心強く感じてしまう。
こんな小学生は、天然記念物だよ~~。家族にこんなに尽くすって愛だね。
最高だね。我が子を支えている親ってこんな気持ちなのか。
「おはよう。6時なのに早いね」
「姉ちゃんこそ。早く起きているじゃん。新聞配達お疲れ~~」
黒髪ロングの二女である里香が、卵を焼きながら話しかけてくれている。
ほかの姉妹も料理をしている。
黒髪セミロングの蓮香はサラダを切っており、黒髪ショートの三女の吹香はトースターにパンをセットしている。
「スクランブルエッグとサラダとトースト?」
「うん!!」
里香の笑顔で答えており、尊み成分がいっぱいで幸せになってしまう。
手伝いたい気持ちで一杯になっているが、手伝ってしまうと妹からブーイングが出てしまう。妹たちは私の負担を少しでも減らしたいという気持ちは分かってしまう。
だから、天使のような調理の支度をただ眺めている。時間の流れなんて忘れてしまうくらい夢中だった。
気がつくと、調理の支度は終わっており、食事が食卓の上に並んでいた。
妹たちの調理の手際がよくなっており、1週間という短い期間でも成長するんだなと感動した。これが親の気持ちというものかと確認してしまう。
「食事の準備してくれてありがとう。では、いただきま~す」
「いただきま~す」
食事はにぎやかな会話がずっと続いており、心の中では楽しいなと気持ちを噛み締めている。
『みんなかわいいな。今日も頑張って。支えないとね』
私が安心していたが、そんな空気を打ち破るように里香が口を開き始めてきた。
「お姉ちゃん。少し変わった気がするんだけど。気のせいかな?」
里香は心配そうに聞いており、ほかの妹たちも同じような反応を取っていた。
早乙女りんに転生し彼女に成りきって生活をしていたが。
やはり、妹たちに気がつかれてしまったかと胸に何かが刺さってしまう。
早乙女りんが積み重ねてきた妹たちの絆を守るために偽物の私は成りきってみせる。
「そんなことはないよ」
成りきっている私は妹たちに嘘をついてしまった。
罪悪感が刺さり食事は進まない
1週間という短い期間であるが、妹たちへの愛情はどこか沸いてくるもの。
この愛情は本物であり、守るべきものだ。
偽物の早乙女りんとして、転生する前の彼女が積みかねた物を守ることしかできないのだ
――――――
フォースの入団テストの日になってしまった。
つまり、ゲームのチュートリアル開始。
現在、体育館のような試験会場におり、周りから緊張が伝わってきており心臓がバクバクしている。
試験で死亡しても責任を取りませんのような書類にサインを書かされており、死というものを近くに感じさせるから。私を含める受験者の緊張がより強く、体育館中に心臓音が聞こえてくるようだ。
さすが、鬼畜ゲー。みんなの顔が冷め切っているよ。
合格すれば公務員並みの待遇になる希望を見せつけられており、希望と絶望がごちゃごちゃになっており、気持ちの整理がつかないのだろう。
もちろん、絶望の方が強いのは事実だが。
『やはり、死ぬのは怖いな。一度死んだ後でも怖いな』
表情が固まってしまっており、緊張がMAXの状態になっている。
そんな私に肩を叩いてきた。
ふっと後ろを向いてみると。
銀色の長い髪のスレンダーな女性。
サファイヤのように青い瞳で人形のように顔が整っていた。
初対面であるが、この女性のことを私は知っている。
彼女こそがインボの主人公である碧 香澄(あおい かすみ)である。
主人公は初見であるが、正直怖い。
鬼畜ゲームをつくるファイア+の主人公は、精神が病んでいるキャラか正常なキャラを闇に堕としていくかのクソみたいな2択。
ちなみに、前作は正常キャラに見せかけての殺人鬼キラー。
今作は、真面目な女子高生が精神を病んでいく話のはず
私はこういう2択は絶対に外さない。外すわけがない。
そうだ、PVで、『嘘で固まった君を正義の道に戻す』って叫んでいたよね。
私は碧がサイコパスでないことをずっと模索して、顔の額に汗がにじみ出ている。
緊張している人間というのは、捕食者の存在を忘れてしまうのだろうか。
碧は、私の額を軟体動物が蠢くかのように舌で舐める。
「あなた、嘘をついているようね。こんなに優しくて暖かい嘘をつけるなんて極上の女。
私とずっと一緒に居なさい」
ネオンのような艶めかしい光を出して碧は語る。
こいつはまともじゃあねぇ~
とんでもなく、サイコパスじゃねぇ~か。
死より怖い恐怖で倒れそうで、意識が半分無くなっている。
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