第26話修行


「も、もう水球を出すのをやめていただいていいです」

そう言われたので水球の制御を離し、床に水をまき散らす。



「うわぁ。ライアンが見たことないくらい険しい顔してる」

「魔法苦手なんだね」


前髪は水球を出しながら、今まで俺に水球を出させていった意味を話す。



「ら、ライアン氏は通常の魔法師より魔力が多いため魔力を体の外に出すとき有り余る魔力量に振り回せられてる傾向にあります。生み出した水球の量でこめられた魔力量が分かるんですけど、通常の魔法師はこのくらいの魔力を込めて水球を生み出します」



そう言っていて、俺が今まで出したいった魔力よりひとまわり小さい水球を前髪は生み出す。



「この水球の魔力量を8としたとき、ら、ライアン氏が生み出している水球は平均20くらいの魔力を使って、魔力の節約という考えは全く考えられてないことが分かる魔力の使い方です」



前髪はホワイトボードを待ってきて、人間の構造を簡単に書き、絵を使いながら説明する。



「ライアン氏がな、なぜ魔力の使い方がなってない理由を今から説明します。魔力はプレイヤーになったら腹の中心辺りから常に見られるようになりました。ま、魔法を生み出すには魔力をパスという道で体内で動かし、ゲートを開け閉めして外に出し排出して魔法という奇跡を行使します。」



前髪は人間に血管のような道と丸を書き、そこを赤い線が通って人間の外に出ている絵を描く。赤い線は魔力なんだろう。腹の中心から外に向けて赤い線が描かれているから。



「ら、ライアン氏は魔力が多くの魔力が体全体に満ち足りています。それと魔力を外に出すパスやゲートが通常より大きいため、たまった魔力を一気に外に出してるのが現状となっております。つまり、ライアン氏は先ほど言って通り排出の際に有り余る魔力量に振り回せられて魔力を制御できてないのです」



分かりやすい説明だ。これが本当だったら納得だ。だが、それが本当ならだ。



「そんな話聞いたことない」

「そ、そうですね。これは世に出てない話ですから」



「僕たちもそんな話聞いたことないんだけど?」

前髪は一度考える様子をしたが直ぐに言葉を発する。



「み、ミヤさんの友達なので話しますがこのことはあまり外に漏らさないでほしいです…」



前髪は前髪を上げ、瞳を俺たちに見せる。瞳は血のように赤いがそれ以外にもよく見ると魔法陣らしきものがうっすらと浮かび上がっていた。



「我がぷ、プレイヤーになったときに目に発現したもので、魔眼というスキルです。これのおかげで魔力が見えるようになりました」



「えっ。まじ?」

「こ、こんなこと悪い人たちに知られたら目をくりぬかれるとお、思うので…秘密にしてください」



「言わないけど、そんなこと僕たちに教えてよかったの?」

「ライアン氏も全属性適性があると教えて下さったのでおあいこで…です」



「ライアンはただ不用心なだけでしょ。あんな白昼堂々と言うなんて。周りを狂信者たちが囲ってなかったら他の人にも聞こえてたかもしれないからライアンもこいつに感謝しなよ」



「そうだな。ライアンはむやみにスキルを人に話さないほうがいい。大手ギルドに目を付けられるぞ」



「分かった」

俺は全魔法適正があるのに魔法を発動に適した体ではないんだなと前髪に言うと否定された。



「逆です!パスやゲートが大きいということは魔法をスピーディーかつ、効率よく魔法を行使できるのです!」


興奮したように大きな声で言うが、陰キャは俺たちの視線に気づいてまた、きょどりだす。



「で、ですから修行をしましょう」

そう言って前髪は、用事がないときにこの施設に来るように俺に言った。



最初の修行内容は、水球を魔導士の平均の8魔力で一定に出せるようになることだった。これが難しい。ゲートを開けると魔力が一気に外に噴出しているので魔力の量を調節できない。



なので、前髪とこの問題を考えたときに体内から魔力を制御できるようになる技術を身に着けることを提案された。意識していなかったが確かに魔力は俺の体全体に満ちていることが感じ取れる。



魔力を循環したり、魔力を凝縮する技術を身に着け、修行内容と逆にもっと魔法の威力が効率よくあがった副産物が出来上がった。


それとともに体内で魔力を常に意識して操作していると水球の動きがスムーズに動くようになった。



次に前髪はアプローチを変えゲートに目をつける。ゲートはゆるいと魔力が垂れ流しになるのでゲート自体には手は加えずに、開け閉めのタイミングだけ確認し、魔力が体内外に出る量を調節する。



すると、魔力の量を調節して魔力を少ない量で体内外に出せることが可能になって操作がもっと楽になった。



第一の関門を突破するまで、一週間以上かかったのに前髪は「て、天才だ」と戦慄していた。



前髪が次の修行段階に移行しようとしたら、前髪に急にハンター協会から依頼が入り一時修行はお開きとなった。なんでも依頼内容は魔力が込められている精密機械の修理なんだとか。



前髪が依頼でしばらく俺の相手を出来なくなったので俺はしばらくダンジョンに潜ろうと思う。


スタンピードで山奥のダンジョンのモンスター達を相手してばっかりだったので気分転換に日本の最難関ダンジョン渋谷に潜ろうと思う。




だが、俺は知る由もなかった。そのダンジョンできっかけでライアンというハンターが世界に知られるようになるということを。

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